江戸中期、18世紀から盛んとなった植木屋の露店市。都市の縁日に、自家で栽培した植木をはじめ草花、盆栽、苗木などを持ち寄った。初めは、その集住地域の社寺の門前などで開かれたが、のちには大都市周辺の集住地域、たとえば江戸周辺の安行(あんぎょう)(川口市北東部)などから持ち寄るようにもなった。いまはないが、19世紀前半の江戸・日本橋茅場町(かやばちょう)の薬師堂前の植木市は、そこに集住する植木屋によって月2回開かれた。その一面は植木店(だな)ともいわれ、組合をつくり他所の職人に対して場所割に優先権をもっていた。近代からは、集住地域でかならずしも縁日に関係なく開かれ、植木、苗木、切り花の常設の市もできてきた。また、季節の特定の草花の市、たとえば入谷(いりや)の鬼子母神(きしもじん)の朝顔市や、浅草観音のほおずき市が縁日にちなんで始まった。ほかに、山形薬師祭(山形市)、二本松市(福島県)、稲沢市(愛知県)、池田市(大阪府)などの植木市が有名である。
[遠藤元男]
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