改訂新版 世界大百科事典 「安行」の意味・わかりやすい解説
安行 (あんぎょう)
埼玉県南部,川口市北東部にある植木,苗木,切花の特産地。1956年同市に編入。安行を中心とした大宮台地南東部は綾瀬川と芝川の低地が樹枝状に入り込んで小起伏に富み,日向と日陰,乾燥した台地や低湿地など様々な土地条件に恵まれ,多種類の植木の栽培適地が多い。切花は赤山物として江戸時代初期に,植木と苗木は吉田権之丞によって始められ,1657年(明暦3)の大火後に江戸へ出荷されたのをきっかけに地の利を生かして発展した。明治以降盛んになり,1935年ごろの最盛期,第2次世界大戦中の衰退期を経て,戦後,緑化・造園ブームに乗って復興した。現在では安行を中心に,川口市の旧鳩ヶ谷市,さいたま市の旧浦和市東部,旧大宮市の一部,旧岩槻市の一部にまたがる地域に拡大し,安行の植木と造園,川口市神根の切花,旧浦和市野田・尾間木の苗木に分化している。県立植物見本園(現,埼玉県花と緑の振興センター)があり付近一帯は県立安行武南自然公園となっている。
執筆者:新井 寿郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報