極軌道気象衛星(読み)きょくきどうきしょうえいせい(その他表記)polar orbiting satellite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「極軌道気象衛星」の意味・わかりやすい解説

極軌道気象衛星
きょくきどうきしょうえいせい
polar orbiting satellite

地球の両極上空を通る軌道をもつ気象衛星。軌道を中心に約 3000kmの幅を低高度で観測するため,高解像度の画像が得られるが,観測範囲は狭くなる。同一地点の上空を 1日 2回通る。静止気象衛星による観測が難しい高緯度地方を高頻度で観測することが可能である。極軌道衛星は気象衛星のさきがけで,アメリカ合衆国では 1959年以降,『バンガード』がシリーズ化された。1960~66年の『タイロス』(飛行高度 670~790km)はテレビカメラと赤外放射計で雲の分布などを観測した。その後継機である 1966~70年の実用衛星エッサ』(飛行高度 1390~1470km)は,自動送画装置を積み,受画装置があれば世界各国で雲写真を受信できるものだった。日本の気象庁は,1968年の『エッサ』6号から受画を開始した。さらに,1970~78年『タイロス』を改良した『アイトス』(飛行高度 1450~1510km)が,1978年からは『タイロスN』(飛行高度 804~870km)が運用された。なお,衛星の名称は『アイトス』から『タイロスN』まで一部を除き『ノアNOAAの名称で運用されている。この間,観測機能が強化され地球表面の温度測定,昼間および夜間の雲分布観測,船舶などからの気象観測資料の収集,雲画像の配布,太陽プロトンの観測等ができるようになった。これらとは異なる系統で,実験的な気象衛星『ニンバス』の打ち上げが 1964年から始まり,雲の分布や地表熱放射などを測定し,1994年に 7号で終了した。その後,SeaSat,ERBS,UARS(2005終了)へと引き継がれた。ソビエト連邦の極軌道気象衛星は 1966年の『コスモス』をはじめ,1969年から『メテオール』が軌道に乗った。

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