デジタル大辞泉 「榻」の意味・読み・例文・類語 しじ〔しぢ〕【×榻】 牛車ぎっしゃから牛を外したとき、車の轅ながえの軛くびきを支え、乗り降りに際しては踏み台とする台。形は机に似て、鷺足さぎあしをつけ、黒漆塗りにして金具を施す。 とう〔タフ〕【×榻】 ながいす。また、寝台。「帝みずから―を降くだりて」〈露伴・運命〉 とん【×榻/×墩】 《「とん(榻)」は唐音》陶磁器製で円筒形の中国風腰掛け。多く庭園に置く。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「榻」の意味・読み・例文・類語 しじしぢ【榻】 〘 名詞 〙① 牛車(ぎっしゃ)に付属する道具の名。牛を取り放した時、轅(ながえ)の軛(くびき)を支え、または乗り降りの踏台とするもの。形は机に似て、甲板を一枚板または簀子板とし鷺足(さぎあし)をつけ、漆を塗り金具を施す。黄金具は大臣用、散らし金物(赤銅)は納言・大将用、黒金物(鉄)は納言以下が用いる。ただし、四位以下は使用が許されなかった。榻①〈信貴山縁起〉[初出の実例]「榻 志持也」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))「川のかたに車むかへ、しぢたてさせて」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)② 腰かけ。ねだい。[初出の実例]「天皇御二大極殿一受レ朝。五位已上始座始設レ榻焉」(出典:続日本紀‐慶雲元年(704)正月丁亥) とうタフ【榻】 〘 名詞 〙 細長い床几(しょうぎ)。こしかけ。また、ねだい。[初出の実例]「居白木榻一基 敷布一条長四尺六寸」(出典:西大寺資財流記帳‐宝亀一一年(780))[その他の文献]〔後漢書‐徐伝〕 とん【榻・墩】 〘 名詞 〙 ( 「とん」は「榻」の唐宋音 ) 陶磁製で太鼓形の、庭園に置く腰掛け。もと中国産。[初出の実例]「支那の磁凳(トン)に塵もとどめず、心にくき住居ぶり」(出典:露団々(1889)〈幸田露伴〉七) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
普及版 字通 「榻」の読み・字形・画数・意味 榻14画 [字音] トウ(タフ)[字訓] こしかけ・ねだい[説文解字] [字形] 形声声符は(とう)。〔説文新附〕六上に「牀なり」とあり、ベッド式の腰かけをいう。不用のときには立てかけておき、これを懸榻という。[訓義]1. こしかけ、ねだい。2. わが国では、牛車の轅(ながえ)を支えるしじ。[古辞書の訓]〔新字鏡〕榻 志持(しぢ) 〔和名抄〕榻 之知(しぢ) 〔字鏡集〕榻 ヒヂ・ユカ・ナガキトコ[熟語]榻椅▶・榻下▶・榻車▶・榻床▶・榻牀▶・榻然▶・榻直▶・榻登▶・榻板▶・榻布▶・榻本▶[下接語]衣榻・移榻・一榻・下榻・臥榻・解榻・寒榻・机榻・虚榻・拠榻・御榻・琴榻・吟榻・賢榻・懸榻・故榻・孤榻・降榻・講榻・坐榻・書榻・牀榻・塵榻・酔榻・石榻・禅榻・対榻・榻・短榻・登榻・同榻・独榻・板榻・晩榻・別榻・方榻・放榻・木榻・夜榻・連榻 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報 Sponserd by
世界大百科事典(旧版)内の榻の言及 【牀】より …古代中国では倚座の習慣はなく,その上に席などの敷物をしいて平座し,接客や会食を行う平台としても用いられた。同種の家具に榻(とう)がある。唐代末期以降は,倚座が普及するようになり,以来,一般に,牀はベッド,榻は周囲に囲いのついた高い平座用の台状家具をそれぞれ指していう。… ※「榻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。 出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」 Sponserd by