想像力とも訳す。心理学的には、先行体験をもとにして、現実に感覚していない新しいイメージを思い浮かべる能力を意味する。それは誤った認識の原因となるとともに、創造的認識の源泉でもあって、その意味でも認識論上重要な概念であるが、これを哲学的な概念として積極的に位置づけたのはカントである。それまではどちらかといえば構想力は感覚と同じ次元の概念であったが、カントは、これに独立した場を与え、感性と悟性という本来完全に別個の働きをする二つの能力を総合的に機能させる先験的能力とした。理論哲学においては感性的多様を範疇(はんちゅう)にのっとって総合する力であり、美的分野においては、悟性と主観的に合一して美を生み出す能力である。なお構想力はフィヒテではさらに発展して、すべての客観を創造する能力となる。サルトル哲学などでも重要な役割を担っている。
[武村泰男]
『I・カント著、篠田英雄訳『純粋理性批判』『判断力批判』(岩波文庫)』▽『J・P・サルトル著、平井啓之訳『想像力の問題』(1983・人文書院)』▽『三木清著『構想力の論理』(『三木清全集8』所収・1967・岩波書店)』
…例えば,われわれが立方体を知覚するとき,その全側面が一度に見えることはないから,それを1個の立方体として意識するためには,それらの側面が総合されなければならない。その総合の働きをカントは,想像力(〈構想力Einbildungskraft〉)による〈再生の総合〉と呼んだのである。それらの総合のためには,時間的に先に把捉された側面が,後の時点まで直観的に把持されていなければならないからである(《純粋理性批判》)。…
※「構想力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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