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評論家。長野県上伊那郡宮田村生れ。松本中学,松本高校を経て京大哲学科に入学,西田幾多郎の講義を聴き心酔した。京大卒業後,概念の論理操作に終始するアカデミズムの哲学に飽き足らず,観念の背後に実感の裏づけを必須とする文芸批評に表現の道を見いだした。処女作《現代日本文学序説》(1932)はそういう批評的性格を刻印しており,芥川竜之介の自殺を乗り超える血路を探るモティーフにつらぬかれていた。戦前から戦後にかけては《鷗外の精神》(1943)があり,《〈明暗〉の成立まで》(1952)がある。戦後の仕事は《三木清》(1947),《現代史への試み》(1949)で始まる。〈型の喪失〉による近代ニヒリズムの克服という反戦後的精神の沈痛な思索であり,やがて《中世の文学》(1955)の無の形而上学にいたり,反近代の思想家の面目を広く印象づけた。鴨長明,一休,良寛,芭蕉の〈風狂〉のすぐれた洞察があり,晩年の《歴史の言ひ遺したこと》(1978)は,都と鄙(ひな),文明と野蛮の既成通念を転倒するユニークな日本精神史である。
執筆者:桶谷 秀昭
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評論家。長野県出身。京都帝国大学哲学科卒業。哲学的思索と人間性の探究、芸術的感受性の結び付きによる、独自な評論家としての地歩を築いた。1932年(昭和7)『現代日本文学序説』で一躍注目された。第二次世界大戦下の『鴎外(おうがい)の精神』(1943)は、近代日本の思想史上の鴎外を歴史小説、史伝の分析によって追究した労作。戦後は『展望』創刊に参加、『現代史への試み』(1949)などがあるが、やがて『中世の文学』(1955)。『千利休(せんのりきゅう)』(1958)、『無常』(1959)などの中世の再発見へと進んでいき、また中世に材を得た小説集『応仁(おうにん)四話』(1966)刊行のことがあった。その後、『古代史試論』(1969)など古代への遡及(そきゅう)もあるが、最晩年の関心は核問題にあった。
[竹盛天雄]
『『唐木順三全集』全19巻(1981~82・筑摩書房)』
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