次郎長三国志(読み)ジロチョウサンゴクシ

デジタル大辞泉の解説

じろちょうさんごくし〔ジロチヤウサンゴクシ〕【次郎長三国志】

村上元三の歴史小説。また、これを原作とするマキノ雅弘監督による時代劇映画のシリーズ名。昭和27年(1952)公開の第1作「次郎長三国志次郎長売出す」を皮切りに、昭和29年(1954)までの間に全9作が東宝で制作・公開された。その後1960年代には同監督により、東映で4作のリメーク版が制作された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

次郎長三国志
じろちょうさんごくし

日本映画。1952年(昭和27)から1954年まで、東宝で製作されたマキノ雅弘(まさひろ)(別名、正博、雅広、雅裕、1908―1993)監督による任侠(にんきょう)時代劇の連作。原作は村上元三(むらかみげんぞう)が雑誌『オール読物』に連載した『次郎長三國志』。清水の次郎長(小堀明男(こぼりあきお)、1920― )が渡世人(とせいにん)となり、徐々に子分が増え、敵のやくざとの闘いを経ながら一家として力強くまとまってゆく。『次郎長三國志 次郎長賣(うり)出す』(この作だけ國が旧字、1952年)に始まり、『次郎長三国志第九部 荒神山』(1954)の全9作で終わるこの映画は、マキノの最高傑作である。次郎長のテーマ曲が流れ、狂言回しを演じる張子の虎三役の廣澤虎造(ひろさわとらぞう)(1899―1964)が浪花節(なにわぶし)をうなり、富士を背景に街道を次郎長一家が行くと、茶摘み女たちとのミュージカルが始まる。ときに男同士惚れた女を語り、ときに男女の人情話を粋(いき)にみせるマキノの語りは、祭りや喧嘩(けんか)のリズムとともに高揚する。マキノは2本同時に撮るほどの早撮りの名手。助監督の岡本喜八郎(おかもときはちろう)(喜八、1924―2005)は部分的に撮影を任された。役者はほとんど新人俳優ばかりだったが、桶(おけ)屋の鬼吉(田崎潤(たざきじゅん)、1913―1985)、関東綱五郎(森健二(もりけんじ)、1913―1979)、大政(河津清三郎(かわづせいざぶろう) 、1908―1983)、法印大五郎(田中春男(たなかはるお)、1912―1992)、増川仙右衛門(石井一雄(いしいかずお)、1927― )、小政(水島道太郎(みずしまみちたろう)、1912―1999)、森の石松(森繁久弥(もりしげひさや))、追分三五郎(小泉博(こいずみひろし)、1926― )、江尻の大熊(澤村國太郎(さわむらくにたろう)、1905―1974)、三保の豚松(加東大介(かとうだいすけ)、1911―1975)など、多彩で個性豊かな連中である。一方、女房のお蝶(若山セツ子(わかやませつこ)、1929―1985)、投げ節お仲(久慈あさみ(くじあさみ)、1922―1996)、小松村のお園(越路吹雪(こしじふぶき))など、理想の女が登場して、腕白小僧のような男どもを母のように、あるいは恋人のようにあしらう。なかでも屈指の傑作『次郎長三国志第八部 海道一の暴れん坊』(1954)は、石松が夕顔(川合玉江(かわいたまえ))に惚(ほ)れる純情と、闇討(やみう)ちで無残に殺されてしまう非情さを描き、最後に波打ち際を揃って仇討(あだう)ちに向かう次郎長一家の悲しみと怒りをみせて終わる。石松を演じた森繁は以後スターになる。[坂尻昌平]

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