精選版 日本国語大辞典 「毳」の意味・読み・例文・類語 け‐ば【毳・毛羽】 〘 名詞 〙① 細かく柔らかい毛。糸、布、紙などでほうけだっている細かい毛状のもの。また、畳の表面などのささくれ。けばけば。[初出の実例]「それで何をするぞ。なれば、毛羽などをするぞ」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)四)「折助さんに受出され、翌(あす)から草鞋のけば毟(むし)り」(出典:歌舞伎・お染久松色読販(1813)大切)② 蚕が繭をつくるときに、足場として最初に張る糸。③ 地図で、山の形や傾斜などを示すのに用いる細くて短い楔(くさび)形の線。 むく‐げ【毳】 〘 名詞 〙 うすく、短く生えた柔らかな毛。うぶ毛。にこげ。〔和玉篇(15C後)〕[初出の実例]「つなげる糸に蜩の啼〈其角〉 瓢覃の毳(ムクゲ)のうちは葉がくれて〈神叔〉」(出典:俳諧・萩の露(1693)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「毳」の読み・字形・画数・意味 毳12画 [字音] ゼイ・セツ[字訓] にこげ・けがわ・やわらかい[説文解字] [金文] [字形] 会意三毛に従う。〔説文〕八上に「獸の細毛なり」とあり、密生する細毛をいう。〔礼記、内則〕に「羊の冷毛にして毳ある」とあり、毛織の衣服をすべて毳衣という。[訓義]1. にこげ、むくげ、はらげ。2. けおりもの。3. 毛皮。4. と通じ、やわらかい、もろい。5. 橇に通じて、そり。[古辞書の訓]〔新字鏡〕毳 波良介志(はらけし)、、知留(ちる) 〔名義抄〕毳 マ(ニ)コゲ・カモ 〔立〕毳 カモノケ・ニコヤカ・ツツゲ・ニコゲ・ホソイト・ソソケ[声系]〔説文〕に毳声としてなど四字を収める。四下は「(やは)らかくして破れ易きなり」とあって、毳の類をいう。[熟語]毳衣▶・毳褐▶・毳客▶・毳俗▶・毳帳▶・毳衲▶・毳▶・毳幕▶・毳布▶・毳冕▶・毳袍▶・毳毛▶・毳▶[下接語]鵝毳・鶴毳・甘毳・毳・采毳・細毳・濡毳・柔毳・氈毳・素毳・霜毳・雉毳・白毳・被毳・美毳・毛毳・翼毳 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報