日本大百科全書(ニッポニカ) 「水産資源保護法」の意味・わかりやすい解説
水産資源保護法
すいさんしげんほごほう
水産資源の保護培養を図り、その効果を維持して漁業を発展させることを目的として1951年12月17日に公布された法律。昭和26年法律第313号。第二次世界大戦後の漁業制度の改革と、食糧不足などからくる乱獲の増大を背景に、51年5月占領軍当局が漁業の経済的危機とその解決策に関する勧告を出したのを受けて制定されたものである。本法において、農林水産大臣または都道府県知事は、必要があると認めるときは、水産動植物の採捕、販売、所持、ならびに漁具・漁船の制限または禁止に関して省令や規則を定めることができる。また農林水産大臣は、水産動植物の産卵、種苗の発生、稚魚の生育に適する特定の水域を「保護水面」に指定し、知事が管理計画を策定してそれを管理する。管理計画では、増殖しようとする水産動植物の種類、増殖方法、採捕の制限・禁止などを定める。国は、都道府県が保護水面の管理に要する費用の2分の1を助成する。2007年末現在、保護水面は全国116か所に設定されている。本法はさらに、サケ・マスなど遡河(そか)魚類の保護培養を重視している。人工孵化(ふか)放流に伴うサケ・マス親魚の遡河、稚魚の降河のための魚道の整備、河川汚染の防止、密漁の取締りなどが定められている。国営と並んで、道県、市町村でも孵化放流事業が行われており、その成果は、孵化、稚魚の育成、放流技術の進歩、河川整備によって着実にあがってきている。
[高山隆三]