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人工孵化 じんこうふか

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

人工孵化
じんこうふか

(1) artificial incubation 家禽の卵,魚卵などを人工的に孵化させること。家禽の場合は孵卵器が母禽の抱卵を代行するもので,必要な一定の温度,湿度を保ち適当な管理をするのが主要な機能であって,養鶏業では人工孵化一元化している。

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世界大百科事典 第2版の解説

じんこうふか【人工孵化 artificial hatching】

家禽(かきん)類の卵や蚕卵,魚卵などを人工的に孵化(ふか)させることをいう。
[家禽卵の人工孵化]
 卵を孵卵器に入れて人工的に孵化させることは,品種改良の結果就巣性を失ってしまった卵用家禽の増殖には不可欠の技術である。人工孵化の歴史は古く,エジプトでは紀元前4世紀ころに粘土で築いた竈(かまど)でラクダの糞(ふん)を燃やし,その熱で卵をかえしたといわれる。原理は母鳥の腹の下の条件を模倣し再現したもので,ニワトリの場合ならば温度は立体孵卵器では38℃,平面式の場合は卵の上面2cmの空間で39℃に保つ。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

じんこうふか【人工孵化】

環境を人工的に管理して孵化を効率的に行うこと。ニワトリ・カイコ・水産動物などで行われる。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

人工孵化
じんこうふか

家禽(かきん)、カイコ、水産動物などの卵を人工的に孵化させること。[西田恂子]

家禽

家禽として飼育されているニワトリやアヒルは就巣性を除去されているので、人工的に孵化してやらねばならない。そのために孵卵器が用いられているが、孵卵を左右するたいせつな要素は温度、湿度および空気中の酸素と二酸化炭素濃度である。種卵を孵卵器に入れるまでの貯蔵日数が長いほど、また貯蔵温度が高いほどそれだけ孵化率が悪くなる。貯蔵期間が1週間以内の場合は温度を15~20℃に、2週間ほどの貯卵では10~12.5℃に下げ、それより長期保存の場合は12.5℃から10℃、7.5℃と順次温度を低下させれば、3週間でも90%近くの孵化率が維持できる。湿度は40~70%の条件下で保存する。
 孵卵日数はニワトリ21日、アヒル28日、シチメンチョウ28日、ウズラ17日である。孵卵器には平面式と立体式があるが、立体式孵卵器のほうが多く用いられている。収容卵数も100卵程度のものから数万個のものまで、さまざまである。2種の構造があり、入卵から18日までを入卵室、以降発生までをヒナ発生室とに分離するセパレート型と、両者を併設したコンビネーション型がある。器内には卵座(鈍端を上にして卵を立てて入れるケース)が多数棚状に配置され、熱源は電気ヒーターである。器内の温度と湿度は攪拌(かくはん)棒を常時回転させ、均一に自動調節されている。温度は37~38℃、湿度は50~60%、空気中の酸素は20~30%、二酸化炭素濃度は1%以下に抑える。
 卵内で発生が進んでいる胚(はい)の絨毛(じゅうもう)膜と卵殻膜の癒着を避け、正常に発育させるために転卵する。転卵回数は多いほどよいといわれるが、平面式孵卵器では1日数回、手で前後にそれぞれ40~45度ずつ位置を変える。立体式では約10回、自動的に転卵される。
 種卵のなかには無精卵(受精していない卵)や、なにかの理由で発生を中止しているものがあるので、検卵によってこれらの卵を取り除かないと、やがて腐敗して有毒ガスを発生する。検卵は普通、孵卵5~7日と15~16日の2回行うが、18日目にもう一度行うこともある。検卵は暗室内で卵の鈍端(この部分に気室がある)に検卵器を密着させて行う。検卵器はランプを内蔵し、一端から光条が出るようにくふうされ、取っ手がついている。孵卵5~7日では、胚を中心にして胎膜に向かって血管が放射されているので、胚がなくて明るい無精卵と、胎膜周縁部に血管輪が見える中止卵を区別できる。孵卵15~16日では、血管は太くなり、胚は大きくなってしばしば動くので、中止卵と容易に区別される。どの家禽でも孵化日の数日前に卵を卵座から発生座という金網籠(かご)(ヒナ発生室)の中へ移し、室内の温度は胚自身の熱発生が盛んなのでやや低く(37℃)、湿度はすこし高めにして(70%)孵化を容易にしてやる。[西田恂子]

カイコ

カイコの越年卵は自然のままに放置すると休眠して翌春にならなければ孵化しないが、これに適当な刺激を与えれば、休眠を破って孵化させることができる。これをカイコの人工孵化という。
 カイコの一化性種は越年卵を産み、二化性種は普通、一化期には不越年卵(生種(なまだね))を、二化期には越年卵(黒種(くろだね))を産む。同じ二化性種でも黒種を産む世代のほうが経済的に優れているので、実用上はいったん黒種を産卵させたのち、これに人工孵化処理を行って利用する。人工孵化法には種々あるが、現在、一般に用いられているのは、加温塩酸液に浸漬(しんし)後、水洗、脱酸、乾燥する方法である。産卵後、飼育を開始するまでの日数の長短に応じ、次の方法のいずれかを用いる。
(1)即時浸酸法 産卵後、気温25℃で15~20時間保護した卵を、比重1.075、水温46℃の塩酸液に4~6分浸漬する。処理後約10日間で孵化する。温度の調節をしないで塩酸を用いる常温浸酸法もある。
(2)冷蔵浸酸法 産卵後、気温25℃に40~45時間保護した卵を5℃に冷蔵し、40~60日後に出庫して3時間以内に浸酸処理(比重1.100、液温47.5℃に4~7分)を行う。処理後11~12日で孵化する。
 人工孵化を行うには技術的な習熟が必要である。[田島弥太郎]

水産動物

有用な水産動物の受精卵を人為的に管理し、安全に孵化させること。一般には親から卵・精子を採取して受精させ、孵化させるまでをさすことが多い。水産動物の受精卵は、大きさや形などが異なるばかりでなく、浮遊性、沈性、付着性など性質も異なり、また孵化までに要する日数も異なるので、孵化方法や孵化器も異なる。[小橋二夫]
孵化の施設
アカガイ、アワビ、クルマエビ、マダイなどの浮遊性卵は、受精してから短時間で孵化するので、特別な孵化器を必要とせず、また卵が小さいので孵化槽は止水とし、卵の沈殿と酸素不足を防ぐために、弱い通気を施して孵化させる。コイ、フナ、キンギョなどの付着性卵は魚巣に付着させ、孵化池に収容し、酸素不足にならないようにする。また、アユやワカサギなどはシュロ皮を広げた孵化枠に卵を付着させ、水が自由に流通できる箱に収め、河・湖・海の中に垂下したり、海底に設置する。ガザミやイセエビの卵は雌の腹肢の毛に固着しているので、孵化するまで親に保育させる。受精卵の大きいサケ、ニジマス、イワナなどの沈性卵は、孵化日数も長いので特別な孵化器を使用する。孵化器の原理は、絶えず受精卵の周りを新鮮な水が流れ、酸素不足による斃死(へいし)がおこらないようにくふうされていることである。
 孵化に用いる水は、水質が孵化に悪影響を与えず、水温の急変がなく、また十分に酸素を溶存していなければならない。水温と孵化に要する日数とは一定の関係があって、適温範囲では、温度が高いほど早く孵化する。温度の急変は孵化率を低下させる。光に対しては、大部分の魚類では普通の太陽光線で孵化率は変わらないが、サケ・マス類では直射日光や紫外線に弱く孵化率が低下するので、暗所に置く必要がある。また、卵の運搬や消毒などのために、機械的な力がある程度以上加わると孵化率に大きく影響する。受精直後のサケ・マス類の卵は振動や衝撃に非常に弱く、発眼後は強くなる。しかし、孵化直前にふたたび弱くなるので、運搬などは発眼卵のときに行い、それ以外は振動を避ける。振動や衝撃を与えると、孵化が1、2日早くなる。また、コイやキンギョの孵化直前の卵も運搬すると早く孵化する。孵化率に影響しない程度の振動や衝撃でも孵化仔魚(しぎょ)に奇形が現れることがある。
 死卵に発生する各種の水生菌は繁殖して菌糸を広げ、生卵まで覆って孵化率を低下させることが多い。サケ・マス類の卵は、古くは孵化までに3~5日に1回検卵し、死卵を除去していたが、現在では1週間に1回、100万分の5(5ppm)に希釈したマラカイトグリーンを1時間流入させて、水生菌の繁殖を抑制している。また、ワカサギの卵でも5ppmの濃度のマラカイトグリーンに10~30分間浸漬することを、1週間に1回行うことで水生菌の繁殖を防除している。[小橋二夫]
採卵・採精
受精卵を得るには、人工受精と自然産卵とがある。人工受精はおもにサケ・マス類、ワカサギ、アユで行われ、腹を切り開いて卵を取り出す切開法や、親魚の腹を圧する搾出法で卵をとる。精子は多くの場合搾出法でとり、卵と精子を混ぜ合わせたのちに水を入れ、受精させる乾導法が一般的である。自然産卵は、成熟した親を産卵池に収容し、自然に放卵・放精させて受精卵を得る。貝類などは温度の変化やpH(ペーハー)の調整、干出(かんしゅつ)(一定時間空中に露出させること)、紫外線を照射した海水などで刺激をすることもある。魚類の場合は親の成熟を促進させるために、水温や光を調節したり、また雌に脳下垂体ホルモンなどを投与することが多い。体外に出された卵は環境水中に置かれると、短時間に受精能力を失い、また精子も1分以内で受精能力を失う。[小橋二夫]
孵化幼生の飼育
人工孵化で得られた幼生を健全に育成するには、初期の餌料(じりょう)いかんによって、その後の歩留りに影響する。水産動物の形態や生活様式がさまざまであるので、孵化幼生は大きさや形態などが異なるうえに、餌料も異なる。孵化幼生に与える餌料は、幼生が捕食できる大きさで消化しやすいもののほか、栄養価の高いもの、水中に浮遊していること、飼育水の水質を悪化させないもの、容易に入手できるものなどの条件を備えていることが必要である。したがって、餌料には微小なプランクトン生物がおもに使われている。なお、餌料生物は単一種より多種類を与えたほうが、成長・歩留りともよい結果が得られている。[小橋二夫]

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