出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
蒔絵(まきえ)加飾法の地蒔(じまき)の一種。金粉や銀粉を沃(そそ)ぎかけた地という意で、濃く蒔き詰めているので、近世では金(銀)地、金溜地(ためじ)ともいう。また1390年(明徳1)の『熊野新宮神宝目録』には浴掛地(いかけじ)と記載してある。平安時代におこったことは、『類聚雑要抄(るいじゅうぞうようしょう)』に、1029年(長元2)関白左大臣頼通(よりみち)が白河院の調度品に沃懸地を施したとあり、また公家(くげ)の儀仗太刀(ぎじょうたち)や武器に施工したのがあることからも証明される。鎌倉時代に盛んに行われ、鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)の籬菊螺鈿蒔絵硯箱(まがきにきくらでんまきえすずりばこ)や松平不昧(ふまい)公旧蔵(現東京国立博物館蔵)の片輪車螺鈿手箱(かたわぐるまらでんてばこ)、三嶋大社の梅蒔絵手箱など代表的遺例が数多く伝世している。
[郷家忠臣]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…それぞれ,時代や地域によって多くの種類が生み出された。蒔絵には平蒔絵,研出(とぎだし)蒔絵,高蒔絵,消蒔絵,梨地,沃懸地(いかけじ)などの技法がある。沈金は漆面を線刻し金箔を埋めたものである。…
…研ぎ出すと銀地に墨絵が浮き上がる。(2)地蒔 沃懸(いかけ)地,金地,平目地,平塵(ひらちり)地,梨地,塵地,石目(いしめ)地などがある。これらは塵地を除いて研出蒔絵に併用されるか,単独で研ぎ出される。…
※「沃懸地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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