デジタル大辞泉
「泥む」の意味・読み・例文・類語
なず・む〔なづむ〕【▽泥む/▽滞む】
[動マ五(四)]
1 そのことに心がとらわれる。こだわる。執着する。「旧例に―・む」
「強ちに外形に―・みて総ての物類を描擬するにあらず」〈逍遥・小説神髄〉
2 物事がはかばかしく進まないでいる。進むのに難渋する。とどこおる。「暮れ―・む空」「船が行き―・む」
3 なじむ。なれ親しむ。
「滅多にいらっしゃらないから…本当には―・まないんだと」〈山本有三・波〉
4 悩み苦しむ。病む。
「この君―・みて泣きむつかり」〈源・横笛〉
5 植物がしおれる。生気がなくなる。
「色づける葉の―・みて立てるを見れば」〈かげろふ・中〉
6 ひたむきに思いを寄せる。執心する。
「おれが首だけ―・んでゐる」〈浄・冥途の飛脚〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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なず・むなづむ【泥・滞】
- 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
- ① 人馬や舟などが前へ進もうとしても、なかなか進めないでいる。進まないで難渋する。
- [初出の実例]「浅小竹原(あさじのはら) 腰那豆牟(ナヅム) 空は行かず 足よ行くな」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- 「きときてはかはのぼりぢのみづをあさみふねもわがみもなつむけふかな」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月七日)
- 「馬は雪に泥(ナヅン)で懸引も自在ならず」(出典:太平記(14C後)四)
- ② 物事がなかなかうまく進行しなくなる。
- [初出の実例]「水まかせなどせさせしかど、色づける葉のなづみてたてるをみれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- 「食、胸になづんで苦しむには、大根をおろしその汁を飲めば胸くつろぐといふ」(出典:咄本・醒睡笑(1628)六)
- ③ しようとしていることが、うまくいかずに思い悩む。思い煩う。
- [初出の実例]「まことに、此君、なづみて、泣きむつかり、あかし給つ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)横笛)
- ④ ある物事に関わり続ける。こだわる。執着する。
- [初出の実例]「大夫(ますらを)の心は無くて秋萩の恋のみにやも奈積(ナづみ)てありなむ」(出典:万葉集(8C後)一〇・二一二三)
- 「死を軽くして、少しもなつまざるかたのいさぎよく覚えて」(出典:徒然草(1331頃)一一五)
- ⑤ ひたむきに思いを寄せる。執心する。惚れる。
- [初出の実例]「こちのこうのうんざいらが、よけいもないむねの中へさへとつかとなづんで、うごきがとれず」(出典:評判記・役者評判蚰蜒(1674)伊藤小太夫)
- 「夜毎夜毎に丸山の廓へお通ひ有て、名山とやら申傾城になづみ給ひ」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)一)
- ⑥ なれ親しむ。なじむ。
- [初出の実例]「手飼ひの狆も此やうに、主をば知って馴れなつみ」(出典:歌舞伎・当龝八幡祭(1810)序幕)
- 「進行するにつれて原文に昵(ナヅ)んでも来たし」(出典:黴(1911)〈徳田秋声〉三三)
泥むの語誌
( 1 )②の用法は、現在では「暮れなずむ」のような複合動詞の中にのみ生きている。
( 2 )④の「執着する」の意の中から、⑤の意が生じたのは近世で、それとの意味の近さ、また「なじむ」との音の類似から、幕末には⑥の意も生じた。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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