東日本大震災の惨禍を繰り返さないよう、津波の被害から国民の生命・身体・財産を守る対策に万全を期すことを定めた法律。正式名称は「津波対策の推進に関する法律」平成23年法律第77号。2011年(平成23)6月に成立、施行された。本法は2010年6月、当時野党であった自民・公明両党が提出したが、審議されずに廃案となった。その後2011年3月11日の東日本大震災を踏まえ、両党が提案した法案をベースに議員立法として成立した。国民が迅速・適切に行動することで津波被害をある程度軽減できるとの教訓を生かし、防潮堤や津波避難施設の整備などハード面の対策だけでなく、津波教育や防災訓練の徹底などソフト面の対策にも力点を置いている。また、津波の広域伝播(でんぱ)という特性を踏まえ、観測体制の強化や国際協力の推進をうたっている。さらに、津波惨禍を風化させず、広く対策の必要性を啓蒙(けいもう)するため、11月5日を「津波防災の日」に制定した。これは1854年(安政1)11月5日(旧暦)の安政南海地震の際、和歌山県の実業家、濱口梧陵(はまぐちごりょう)(1820―1885)が津波到来を村人に知らせるため稲束に火を放って命を救ったという「稲むらの火」の故事にちなんだものである。なお、2015年には国連においても同日が「世界津波の日」と制定された。
津波対策推進法では第4条から第9条でソフト面の対策について述べられている。国、地方自治体、大学などが連携し、想定される浸水地域や被害を予測し、避難計画を作成・公表するよう求めた。津波観測体制を強化すると同時に、予報・警報・避難勧告体制を整え、学校などを通じて津波教育・避難訓練を徹底することも盛り込んだ。第10条から第13条では最新の知見に基づき、海岸・河川堤防の整備や津波被害を抑える街づくりの推進などハード面対策の必要性を強調している。とくに国と地方自治体に対し、原子力発電所の核燃料物質のほか石油・火薬・高圧ガス類の安全確保に努めるよう求めた。このほか津波避難施設やハザードマップ作成などに対する地方自治体への財政支援・税制優遇などを盛り込んでいる。
[編集部 2016年2月17日]
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