中世後期の物語草子。別称《十二段草子》《浄瑠璃十二段》《浄瑠璃姫物語》など。金売吉次に従って奥州へ下る途中の牛若が矢作(やはぎ)の宿(現,岡崎市)の長者の娘浄瑠璃姫と結ばれる恋物語で,2人のみやびな恋の口説や牛若を蘇生させる姫の献身が好まれて,広く流布した作品。幾系統もの本文があり,また,伝本には絵巻物,奈良絵本,写本,刊本などがある。本来は三河国峰の薬師の利生を伝える語り物で,長大な筋のものだったといわれるが,のちに12段構成に整理されたものが一般化した。ほかに20段,16段,15段のものもある。15世紀半ばころから座頭などによって行われていたことが知られている。初期には琵琶や扇拍子に合わせて語られていたらしいが,やがて三味線と結びつき,さらに近世初頭には操り芝居でも上演されるようになった。早くから浄瑠璃節の祖と呼ばれ,その後の芸能・文芸の上にも大きな影響を及ぼしている。
執筆者:原 道生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「十二段草子」とも。浄瑠璃・室町物語の武家物。16段・15段・12段。作者不詳。1475年(文明7)以前に成立か。三河国矢作(やはぎ)の長者は鳳来寺に願をかけ浄瑠璃御前を授かる。牛若丸は奥州に下る途中,矢作で御前を見初め,一夜の契りを交わす。奥州へ旅立った牛若丸は蒲原(かんばら)で病に倒れ,御前が若宮八幡のお告げにより駆けつけ,神々へ祈ると牛若丸は蘇生する。牛若丸は正体を明かし,奥州へとむかう。「天狗の内裏」「御曹子島渡り」「皆鶴」などと同様,源義経にまつわる判官物の一つ。座頭によって語られた。「日本古典集成」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…浄瑠璃の起源となった《浄瑠璃物語(十二段草子)》の作者といわれる女性。阿通,於通とも記される。…
…鎌田政清の妹牛王姫は,伯母の尼公の裏切りによって平家方にとらえられ拷問を受け,牛若丸の行方を追及されるが,白状をせず舌をくい切って自ら果てる。幸若舞曲《鎌田》,御伽草子《浄瑠璃物語》にも政清の妹が登場するところから,これらの間には伝承上,何らかの関係があったのではないかとされている。同材の作品に奥浄瑠璃《牛王乃姫》,加賀掾正本《牛若千人切》などがある。…
※「浄瑠璃物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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