十二段草子(読み)じゅうにだんぞうし

  • じゅうにだんそうし
  • じゅうにだんそうし ジフニダンサウシ
  • じゅうにだんぞうし〔ジフニダンザウシ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

室町時代の御伽草子古浄瑠璃。別称『浄瑠璃姫物語』『浄瑠璃十二段草子』。三河矢矧 (やはぎ) の長者の娘の浄瑠璃姫牛若丸との恋物語。浄瑠璃の最初の曲といわれ,文明 17 (1485) 年にはすでに存在。浄瑠璃姫は峯の薬師の申し子で,薬師十二神にちなんで,構成が 12段に分れるところから,この名称がある。伝本が多く,12段以外の構成のものも現存作者または改作者を小野お通とする伝説もあるが,三河地方の伝説が母体となったと考えられている。

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大辞林 第三版の解説

室町末期、操り人形芝居として、一二段に構成されて行われていたところからいう
古浄瑠璃・お伽草子。作者不明。小野お通の作といわれてきたが俗説。奥州へ下る牛若丸は、途中、三河の矢矧やはぎの長者の娘浄瑠璃姫を見初め、一夜を契る。のち牛若は吹上の浜で病に倒れたが、姫の介抱で本復する。「浄瑠璃」が語り物の代名詞となったのは、この物語の流行による。浄瑠璃御前(姫)物語。浄瑠璃十二段。源氏十二段。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

浄瑠璃(じょうるり)作品名。別名『浄瑠璃(姫)物語』。室町時代末期に流行した語物の一種で、浄瑠璃姫を主人公とする。のちにこの種の語物の総称を「浄瑠璃」とよぶようになるのは、この作品に由来する。この作品が操(あやつり)人形芝居と結び付き、その演目として定着したころ、12段の構成であったことから、この名称が生まれた。
 刊本として残っているものには、十二段本のほかに、15段や、8段に短縮されたものもある。刊本のほか、華麗な絵巻物・奈良絵本・嵯峨(さが)本など各種の様式に仕立てられたものがあり、当時の流行をしのばせる。作者は伝説的に小野お通(おののおつう)とされてきたが、信じられない。無名多数の語り手によって、しだいに形が整えられたものであろう。
 金売吉次(かねうりきちじ)に伴われて奥州へ下る御曹司(おんぞうし)牛若丸が、三河国(愛知県)矢矧(やはぎ)の里で長者の娘浄瑠璃姫を見そめ、一夜の契りを結ぶ。姫は薬師(やくし)十二神の申し子であった。別れて旅を続けた牛若は蒲原(かんばら)(静岡県)で病(やまい)に倒れ、吹上(ふきあげ)の浜に捨てられる。正八幡(しょうはちまん)のお告げで危難を悟った浄瑠璃姫が駆けつけて、祈願によって生命を救う。牛若は素姓を明かして再会を約し、姫を天狗(てんぐ)に送らせ、自分は平泉(ひらいずみ)へと向かう。薬師霊験譚(れいげんたん)を基盤とする中世的な宗教性を背景に、恋愛物語が絡んで成長した語物で、中世から近世への過渡的な様相をよく示している。古浄瑠璃をはじめ各種の浄瑠璃のほか、歌舞伎(かぶき)、物語、小説などに多大の影響を与えた。[服部幸雄]

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精選版 日本国語大辞典の解説

御伽草子・古浄瑠璃。作者不明。室町中期以後の成立。本地物で、判官物の一種。御曹司牛若丸と、三河国鳳来寺薬師如来の申し子で、矢作の宿の遊女である浄瑠璃姫との恋物語を一二段に分けて語ったもの。近世初期に語り物として流行、この種の作を浄瑠璃というに至った。浄瑠璃御前物語。浄瑠璃物語。浄瑠璃姫物語。浄瑠璃十二段。浄瑠璃十二段草子。十二段。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

室町中期に成立した,浄瑠璃・御伽 (おとぎ) 草子のもととなった物語
作者不詳。源義経の奥州下りに浄瑠璃姫などの伝説がからんだもので,これらを12段に仕組んだ物語。語り本として伝えられた。

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