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海国兵談 かいこくへいだん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

海国兵談
かいこくへいだん

林子平が著わした兵書。全 16巻。天明6 (1786) 年脱稿,翌年から寛政3 (91) 年までに自費で全巻を刊行した。子平は江戸時代後期の経世家,兵学者,寛政の三奇人の一人。本書は当時ロシア千島列島,蝦夷南下の新情勢に対し,日本を守るために海防が必要であることを説いている。寛政4年幕府は無断で国防を論じた罪で子平を禁錮し,板木没収した。翌年ロシア使節が根室に来たりして沿海の問題が相次いで起ってくると,本書の価値は認められ幕末にいたるまで広く伝写され,嘉永年間 (1848~54) には復刻出版された。なお「細かに思へば江戸の日本橋より唐,オランダ迄境なしの水路なり」と述べた言葉は有名である。

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デジタル大辞泉の解説

かいこくへいだん【海国兵談】

江戸中期の兵学書。16巻。林子平著。天明6年(1786)成立。寛政3年(1791)全巻刊。幕府に忌まれ同年絶版。ロシア船の南下に警告を発し、国防の急務を論じた。

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百科事典マイペディアの解説

海国兵談【かいこくへいだん】

林子平(しへい)著の兵学書。16巻。1786年成る。ロシア南下の脅威とそれに対する海防を論じて,水戦と砲術による兵法を図解詳述。1787年第1巻を仙台で刊行したが売行き悪く,資金に苦しみながらともかく1791年全巻完結。

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世界大百科事典 第2版の解説

かいこくへいだん【海国兵談】

林子平がロシア勢力南下の情勢を踏まえて,対外的防備策を論じた兵書。全16巻。1787年(天明7)に第1巻を自力で板刻・出版し,91年(寛政3)に全巻の出版を終えた。表題の〈海国〉とは,子平が国防的観点からとらえた,日本の地理的特質にほかならない。子平は本書の中で,海国にはそれにふさわしい軍備を要するとして,海軍を設立し,全国の海岸に砲台を設置することを緊急課題にあげる。なかでも彼が重視したのは日本の中枢部というべき江戸沿海の防備で,江戸湾頭に有力諸侯の配置を提案するが,江戸湾防備の緊急性を説いたのは,彼が最初である。

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大辞林 第三版の解説

かいこくへいだん【海国兵談】

兵学書。一六巻。林子平著。1786~91年刊。ロシアの南下に対して警告を発し、海防の要を説いた書。幕府の忌むところとなり版木は没収、子平は禁固となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海国兵談
かいこくへいだん

江戸後期、林子平(しへい)の著した兵書、国防書。全16巻。1777年(安永6)起稿、86年(天明6)脱稿。88年より91年(寛政3)にかけて自費刊行。当時ロシアが千島、北海道に南進したことに危機感を抱き、警告せんとして書かれた。荻生徂徠(おぎゅうそらい)の兵書『(けんろく)』の影響もあり、第14~16巻では武士土着論・富国策もあるが、全般として国内戦の勝利よりも、対外戦の備えを論じた。「江戸の日本橋より唐・阿蘭陀迄(オランダまで)、境なしの水路なり」と説き、日本は海国であるため水戦を重んずべきこと、大船を建造して大銃(おおづつ)を備うべきことを説いた。91年末、みだりに国防を論じた罪で幕府に召喚され、翌年5月蟄居(ちっきょ)処分となり、板木は没収された。翌年ロシア使節の根室(ねむろ)来航を機に、本書は広く伝写され、海防の論議高まるにつれ尊皇攘夷(じょうい)の志士を刺激した。『林子平全集』「岩波文庫」に所収。[塚谷晃弘]
『学蔵会編『林子平全集』全3巻(1943~46・生活社)』

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世界大百科事典内の海国兵談の言及

【海防論】より

…こうした水戸学の成立は,内外にたいする深刻な危機感が,徳川体制の中枢にまで浸透したことを示すものといえよう。
[軍備充実の重視]
 開鎖の議論と密接に関連して,軍備充実論が展開されるが,これを創唱したのは林子平の《海国兵談》(1786稿)である。日本は海国で,水路は世界に通じているから,その軍備は外寇に備えるものであるべきで,その要は水軍と大砲にあるとして,彼は洋式に倣って大船と大砲を充実するよう強調した。…

※「海国兵談」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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