準結晶(読み)ジュンケッショウ(その他表記)quasicrystal

翻訳|quasicrystal

デジタル大辞泉 「準結晶」の意味・読み・例文・類語

じゅん‐けっしょう〔‐ケツシヤウ〕【準結晶】

周期性はないが、高い秩序性の原子配列を有する固体物質結晶とも非晶質アモルファス)とも異なる新たな秩序構造として知られ、1984年に発見された。また、二次元における平面充塡として、ペンローズタイルが知られる。

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関連語 木村 勇気

日本大百科全書(ニッポニカ) 「準結晶」の意味・わかりやすい解説

準結晶
じゅんけっしょう
quasicrystal

結晶でもなく、アモルファス(非晶質)でもない物質の第三の固体形態。Al-Cu-Fe、Al-Ni-Co、アルミニウム・パラジウム・マンガン(Al-Pd-Mn)合金、ホルミウム・マグネシウム・亜鉛(Ho-Mg-Zn)合金などが知られる。結晶では原子配列構造の並進性(周期性)に起因する電子線回折像が1回、2回、3回、4回、6回の回転対称性を示す。一方、アモルファスは乱雑な構造であるため、電子線回折像は対称性を示さない。準結晶は原子配列構造の並進性をもたないのに、電子線回折像に鋭い回折パターンを示し、それも結晶構造からは発生しないと考えられている5回、8回、10回、12回の回転対称性を示す。このように周期性をもたないが高い秩序性をもつものに一次元でのフィボナッチ数列や二次元でのペンローズタイルが知られており、準結晶は高次元の秩序性が低次元の結晶構造に射影されたものと考えられている。準結晶は1984年にシュヒトマンにより発見され、2011年のノーベル化学賞が授与された。原子配列の並進対称性をもたない準結晶は、まったく新しい固体形態としてさまざまな研究が進んでいる。

[山本将史 2022年3月23日]

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化学辞典 第2版 「準結晶」の解説

準結晶
ジュンケッショウ
quasi-crystal

結晶では,三次元的な並進周期性に従い,平行六面体の構造単位(単位胞)が周期的にすきまなく並んだ構造をとっている.この周期性が周期格子である.一方,準結晶は周期的な格子をもたないが,その代わりに高い規則性をもった非周期格子をもっている物質といえる.たとえば,結晶を三次元ではなく多次元の空間で記述し,ある多次元の並進周期性にもとづき原子または原子団を配列させる.これをわれわれが目にしうる形の二次元ないし三次元に結晶を投影すると,投影の仕方によってそれは周期的にはならず非周期性の並びで投影される.このような状態で実在するものが準結晶であり,三次元では周期性をもたないが,きわめて高い規則性を有している.準結晶は多次元の空間では周期構造をとる高次元結晶と理解されるので,X線回折図形や電子回折図形には周期性はなくとも明確で鋭い回折反射を示す.また,ほかの結晶相とも熱力学的に競合関係にあるので,平衡相として準結晶相も存在しうる.

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最新 地学事典 「準結晶」の解説

じゅんけっしょう
準結晶

quasicrystal

単位格子の並進操作によって原子配列を定義づけられないにもかかわらず,5回,8回,10回,または12回の回転対称性を示す結晶。急冷したAl-Mn合金において1984年にD. Shechtmanなどによって初めて報告された。ハトゥイルカ(Khatyrka)隕石中からは天然鉱物としても見つかっている。参考文献D. Shechtman et al. (1984) Phys. Rev. Lett., Vol. 53 : 1951

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「準結晶」の意味・わかりやすい解説

準結晶
じゅんけっしょう
quasicrystal

原子配列が一定の規則性があるにもかかわらず周期性はない物質。 1984年,急冷によって得られたアルミニウムとマンガンの合金を得た際に発見された新物質。原子配列が周期的な固体が結晶,不規則なものがアモルファスであるが,準結晶はそのいずれにも属さない。準結晶はさらに,結晶にはありえない5回対称性 (1格子点を中心として固体を5分の1回転させると,元の構造と一致する) という特徴をもつ。

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