溶液重合
ヨウエキジュウゴウ
solution polymerization
単量体を溶媒に溶かして重合させる方法.一般に,生成重合体は溶媒に溶解し,重合は均一系で進行する.ラジカル重合を例にとれば,数平均重合度は次式で表される.
ここに,Cs は連鎖移動定数,[S]は溶媒濃度,[M]は単量体濃度,は溶媒不在下での数平均重合度である.上式から明らかなように,溶液重合においては溶媒による連鎖移動が起こるために,塊状重合に比べて生成重合体の分子量が小さくなる.また,溶液重合においては重合熱の除去が可能となるが,生成重合体と溶媒との分離工程が必要となる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
溶液重合 (ようえきじゅうごう)
solution polymerization
同じ種類の小さい分子が互いに結合して巨大な分子,すなわち高分子となる重合反応を,溶液状態で行う方法をいう。原料となる小さい分子,すなわちモノマー(単量体)を適当な溶媒に溶かし,必要に応じて重合反応の開始剤を加えて加熱する。反応が進んで高分子のポリマー(重合体)が生成してくると,反応溶液は粘くなる。これからポリマーを分離するには,それを溶かさない溶媒(非溶媒)に反応溶液を加え,重合体を沈殿させる。溶液重合では,モノマーを溶媒でうすめた状態で反応させるので,反応によって発生する熱の除去が容易で,反応の制御には便利である。しかし溶媒の回収のプロセスが必要であるので,おもに,水を媒体として使うことができない反応の場合に用いられる。生成した重合体溶液をそのまま用いる用途として,ある種の塗料,接着剤などがある。
執筆者:井上 祥平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
溶液重合【ようえきじゅうごう】
単量体を溶剤に溶かして,溶液に可溶な触媒を加えて重合させる方法。重合熱の除去は容易で,得られる重合物の純度も高いが,一般に反応速度が遅く重合度も低い場合が多い。溶剤に溶解した状態で使用できる塗料,接着剤などの製造におもに利用。
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世界大百科事典(旧版)内の溶液重合の言及
【重合】より
…
[付加重合の実際的方法]
実用的な高分子の製造において行われている付加重合反応の多くは,ラジカル重合である。ラジカル重合の実際的方法としては,[塊状重合],[溶液重合],[懸濁重合]および[乳化重合]がある。塊状重合はモノマーに開始剤を加え,加熱,重合させる方法で,有機ガラスとして知られるポリメタクリル酸メチルの製造で行われている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」