ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「澄川喜一」の意味・わかりやすい解説
澄川喜一
すみかわきいち
[没]2023.4.9.
彫刻家。木の特性をいかした「そりのあるかたち」の連作で高い評価を受け,また曲線による造形美を追求した独自の彫刻哲学で,建築家の安藤忠雄とともに東京スカイツリーのデザインを監修した。
島根県六日市町(現吉賀町)に生まれる。少年時代を過ごした山口県岩国市で錦帯橋の美しさにひかれ彫刻家を志望する。1951年山口県立岩国工業高等学校を卒業。いったんは地元で就職したが,その後上京して 1952年東京藝術大学に入学。木彫界の大家である平櫛田中らに師事する。1979年平櫛田中賞,1988年吉田五十八賞を受賞。1981年東京藝術大学教授,1995年同学長,2003年同名誉教授,2004年日本芸術院会員となる。代表作に 1997年制作の東京湾アクアラインのモニュメント「風の塔」や「カッターフェイス」がある。また,全国各地に野外彫刻や環境造形作品が設置されている。著書に『そりのあるかたち』(1996),『澄川喜一作品集』(2007)などがある。2003年に「そりのあるかたち 2002」で日本芸術院賞・恩賜賞受賞。1998年紫綬褒章,1999年紺綬褒章。2008年に文化功労者に選定され,2020年文化勲章を受章した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報