東京スカイツリー(読み)とうきょうすかいつりー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「東京スカイツリー」の意味・わかりやすい解説

東京スカイツリー
とうきょうすかいつりー

2012年(平成24)5月に、東京都墨田(すみだ)区に開業した電波塔。高さは東京タワーの2倍近い634メートル。完成時点で、自立式鉄塔としては高さ世界1位、人工建造物としてはドバイブルジュ・ハリファ(828メートル、2010年完成)に次ぎ、世界2位である。超高層ビルが乱立する東京都心で、直進性の高い地上波デジタル放送などの電波をできるだけ障害なく送信する目的で建設された。NHKと在京民放キー局5社などが利用している。名称は一般公募で決められた。観光・商業施設「東京ソラマチ」や水族館プラネタリウム、オフィスビルなどを併設しており、墨田区では年間552万人が来場すると予測していた。実際は開業前から建設状況がマスコミでたびたび取り上げられ、東京の新しい観光スポットとして人気をよび、開業後9か月で展望台(高さ350メートル)に500万人が来場。開業から1年半余りの2013年12月には来場者数が1000万人を超えた。

 事業主体は東武鉄道の関連会社の東武タワースカイツリー株式会社。墨田区押上(おしあげ)・業平橋(なりひらばし)地区に2008年7月に着工し、2012年2月に竣工(しゅんこう)した。デザインは建築家の安藤忠雄と彫刻家の澄川喜一(すみかわきいち)(1931―2023)が監修。地上350メートル地点に展望台「天望デッキ」、450メートル地点には展望台「天望回廊」が設けられた。電波塔を含めた周辺施設は「東京スカイツリータウン」とよばれる。

 1990年代後半に構想が浮上し、2003年、在京放送事業者各社が600メートルを超える新タワーの建設を求めて「在京6社新タワー推進プロジェクト」を立ち上げ、実現に向けて動き出した。墨田区のほか、さいたま新都心なども誘致に名のりをあげたが、2006年に墨田区に決まった。高さは、東京地区の旧国名である「武蔵(むさし)」の国にちなんだ634メートルとなった。

[編集部]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東京スカイツリー」の意味・わかりやすい解説

東京スカイツリー
とうきょうスカイツリー
Tokyo Sky Tree

東京都墨田区押上にあるテレビ放送用鉄塔。高さ約 634m。関東地方における地上デジタルテレビ放送の電波送信が,都心部に林立する高層ビル群によって障害を受ける可能性があることから,超高層のテレビ塔として計画された。2008年7月14日着工,2012年2月29日竣工。電波塔としての役割に加え,東京の下町を代表するランドマークとなり地域活性化に貢献することを目指した。また都心の大規模なインフラストラクチャーとしての役割や,ワンセグの受信可能地域の拡大も期待された。構造設計に際しては日本の伝統美と最新技術の融合がはかられた。タワーの平面は,足元は一辺約 68mの三角形で,上へ伸びるに従い円形へと変化する。側面には伝統的な日本建築などにみられる凸凹に湾曲する面(そり,むくり)が採用された。この形状によって高い塔の圧迫感を軽減し,周辺地域の日照問題にも対応した。耐震性を高めるため,塔本体のゆれを心柱によって相殺する,五重塔と同様の構造となっている。地上本体の鉄骨重量は約 4万1000t。放送施設のほか 2ヵ所の展望施設があり,地上 350mの東京スカイツリー天望デッキ,450mの東京スカイツリー天望回廊からは広大な景色が楽しめ,観光名所ともなっている。

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