日本大百科全書(ニッポニカ) 「火山情報」の意味・わかりやすい解説
火山情報
かざんじょうほう
火山の活動状況についての情報。日本では公式の火山情報は気象庁から発表される。気象庁は、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された50火山(2021年時点)について、大学等の研究機関や自治体・防災機関等の協力を得ながら、地震計、GNSS(衛星測位システム)観測装置、傾斜計、空振計、監視カメラ等により、活動状況を24時間体制で常時観測・監視している。これらのデータは、2002年から運用開始された火山監視・情報センター(札幌、仙台、東京、福岡の4か所)で監視され、そこで得られた観測結果は、「火山情報」として公表される。2007年12月の気象業務法施行令の一部改正により、火山情報は(1)噴火警報、(2)噴火予報、として発表されるようになった。
(1)噴火警報 居住地域や火口周辺に影響が及ぶ噴火の発生が予測された場合に、その影響範囲を示して発表される。報道機関、都道府県、市町村等を通じて住民に通知される。
(2)噴火予報 噴火警報を解除する場合や、火山活動が静穏(平常)な状態が続くことを知らせる場合に発表される。
この他、火山現象に関する情報として、「火山の状況に関する解説情報」「火山活動解説資料」「週間火山概況」「月間火山概況」「噴火に関する火山観測報」がある。
また、2007年から、噴火時等の危険範囲や必要な防災対応を踏まえて、火山活動の状況を5段階に区分した噴火警戒レベルを導入した。住民や登山者等に必要な防災対策が分かりやすいように、噴火警戒レベル5から4、3、2、1に対して、それぞれ「避難」「高齢者等避難」「入山規制」「火口周辺規制」「活火山であることに留意」のキーワードをつけて警戒を呼びかけている。噴火警戒レベルを導入した火山では、噴火警報および噴火予報で噴火警戒レベルを発表している。
気象庁は、1962年(昭和37)から、効率的に監視する体制の整備を進め、1965年から火山情報の発表を業務化した。1978年「活動火山対策特別措置法」の施行に伴い、気象庁が発表する火山情報は、「定期火山情報」「臨時火山情報」「火山活動情報」の3種に分類された。1990年(平成2)~1995年の長崎県雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)の噴火後に、火山情報の名称と内容が見直されており、その後の整備につながった。
[諏訪 彰・中田節也]