サーメット(読み)さーめっと(英語表記)cermet

翻訳|cermet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サーメット」の意味・わかりやすい解説

サーメット
さーめっと
cermet

セラミックスceramicsと金属metalの両者を含む耐熱材料。それぞれの頭3文字をとって命名されたもので、アメリカのバルガーA. L. Bergerがこの名を提案した(1949)。サーメットスイスハウザーH. Hauserが1926年に初めて開発したとみられている。広範囲のセラミックス(酸化物と炭化物)および金属(鉄、クロムモリブデンなど)の組合せで、セラミックスの耐火性と耐酸化性、金属の大きな熱衝撃抵抗性と引張り強度との特性を備えた材料の開発が目的であった。

 もっとも有効なサーメットは、TiC-Niサーメット(kentanium)、Al2O3/CrおよびAl2O3-Feサーメットである。サーメットの第一の用途は、ガスタービン翼およびその他の高温機械材料であるが、ムライト‐銅サーメットはブレーキ材として使用されている。製法としては焼結のほか含浸、積層、自己施釉(せゆう)などがある。

[素木洋一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サーメット」の意味・わかりやすい解説

サーメット
cermet

高硬度の金属炭化物,ホウ化物,窒化物,酸化物などを金属バインダーで結合してつくる一種複合金属材料。英語名は陶器材 ceramicsと金属 metalの合成語。バインダー金属としてはコバルト,鉄,クロム,モリブデン,ニッケルなどの金属やその合金が用いられる。陶器材の耐熱性と金属の耐衝撃性,導電性をあわせもつ材料として開発された。高融点電気接点,耐摩耐熱材,耐食材,ジェット機部品,ロケット部品,原子炉材などに用いる研究が進められている。超硬合金と似ているが,使用目的が異なるので,一般に金属バインダーの量を多く (20~70%) して衝撃値を補う。オーストリアで開発された TiC系の WZ合金など種類が多い。製造法はすべて粉末冶金による。

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