デジタル大辞泉
「無塩」の意味・読み・例文・類語
ぶ‐えん【無塩】
1 塩けのないこと。塩を用いないこと。
2 《塩を使っていないところから》生であること。新鮮であること。また、そのもの。
「ここに―の平茸あり」〈平家・八〉
3 人ずれのしていないこと。また、その人。うぶ。
「―のお娘の手いらずを」〈人・梅児誉美・初〉
4 《中国、戦国時代斉の宣王の夫人鍾離春が、山東省無塩の出身でたいへん醜かったところから》醜い女。無塩君。
「押し売りに―の后斉へ来る」〈柳多留・二〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ぶ‐えん【無塩】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 塩けのないこと。塩を用いてないこと。
- [初出の実例]「とんだ事、ぶゑんの干ものだの」(出典:洒落本・道中粋語録(1779‐80頃))
- [その他の文献]〔管子‐地数〕
- ② ( 保存するための塩を用いてないところから ) 生(なま)であること。新鮮であること。特に、魚介類の新しいこと。また、そのもの。
- [初出の実例]「何もあたらしき物を無塩といふと心えて」(出典:平家物語(13C前)八)
- ③ 転じて、うぶな人。純粋な人。
- [初出の実例]「あまじほのにょうご、かうゐや、ぶゑんのきさきなどのやうに」(出典:評判記・もえくゐ(1677))
- ④ ( 「新序‐雑事」「列女伝‐弁通・斉鍾離春伝」などに見える、中国、戦国時代斉の宣王の夫人で、その政治を助けた鍾離春が極めて醜く、無塩[ 二 ]の出で無塩女と呼ばれていたところから ) 醜い女。醜女。
- [初出の実例]「詞・器よしといふとも、趣向拙からば、無塩の面に西施が鼻を添たるがごとくならん」(出典:俳諧・青根が峯(1698)答許子問難弁)
- [ 2 ] 中国の地名。現在の山東省東平県の東。春秋時代の小国で、漢代に県となった。
む‐えん【無塩】
- 〘 名詞 〙
- ① 塩分のないこと。ぶえん。
- ② ( 形動 ) 塩を引かないなま魚の類。転じて、新鮮なこと。また、うぶなさま。ぶえん。
- [初出の実例]「『何のお一つ云ひ分なき、お身となられて尼なぞとは』『左様々々。あったら無塩(ムエン)の蛤を、彼の雛段で腐らす同前』」(出典:歌舞伎・桜姫東文章(1817)序幕)
- ③ ⇒ぶえん(無塩)[ 一 ]④
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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