日本大百科全書(ニッポニカ) 「熱帯季節風気候」の意味・わかりやすい解説
熱帯季節風気候
ねったいきせつふうきこう
熱帯モンスーン気候ともいい、気温の年較差は12℃くらいで、熱帯気候のなかでは大きい。それでも、季節風がもたらす夏の雨期と冬の弱い乾期というように、気温よりは降水量が季節変化を示す。主要な植生は常緑広葉樹からなる密林であるが、半落葉樹林(モンスーン林、雨緑林)も分布する。この気候区はブラジルのアマゾン河口部や、マレー半島、ビルマ(ミャンマー)西部、フィリピン北西部、インド西海岸、アフリカのギニア湾岸などに分布し、多くは開発途上地域で、熱帯のなかでは人間の活動が盛んである。森林乱伐を伴う過度な開発が20世紀後半から目だっている。土壌はラテライト(紅土)であるが、乾・雨期に適応させた米の二期作や、サトウキビ、コーヒー、茶、タバコなどのプランテーション(企業的栽植農園)も営まれている。
[福岡義隆]