北半球の北東貿易風と南半球の南東貿易風が合流する領域のこと。略称ITCZ。赤道収束帯,赤道前線,熱帯前線,モンスーン・トラフなどの別名がある。日々の変動は大きいが,平均的にみると東西にほぼ連続して(大陸上では不明瞭になりがち)地球をとりまいている。その位置は季節によって異なり,北半球の夏には最も北へ,南半球の夏には最も南へかたよる。位置の季節変動の小さい地域は,太平洋東部と大西洋で,収束帯は北半球の夏には北緯10°付近,南半球の夏には赤道付近に位置する。季節変動の大きい地域は,太平洋西部からインド洋にかけてで,収束帯は北半球の夏にはインド北部の北緯30°近くまで,南半球の夏にはオーストラリアの南緯20°近くまで達する。太平洋西部からインド洋を経て,アフリカ大陸にかけ,北東貿易風と南東貿易風の間に西風の領域,すなわち赤道偏西風帯の形成されることがある。このとき赤道偏西風と北東貿易風および南東貿易風の間に,それぞれ収束帯ができる。これらをそれぞれ北熱帯収束帯,南熱帯収束帯という。熱帯収束帯では空気が上昇するため,積乱雲が発達して雲のバンドを形成し,降水量も多い。いろいろな熱帯じょう乱の発生・発達の多くは,この収束帯で起こる。熱帯収束帯の位置は,海面水温の極大の位置とほぼ一致するといわれている。
執筆者:菊池 幸雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…そこでは温度差が小さいと同時に水平方向に作用するコリオリの力がゼロかそれに近いためである。熱帯では出発点が異なる気流の会合する地帯を前線のかわりに熱帯収束帯と呼ぶ。多くの場合,それは北半球の貿易風と南半球の貿易風の会合である。…
※「熱帯収束帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新