日本大百科全書(ニッポニカ) 「特用林産物」の意味・わかりやすい解説
特用林産物
とくようりんさんぶつ
普通の林産物である製材用材や薪炭材に対し、それ以外の林産物をよぶ総称。樹木からの産物だけでなく、草本類や菌類からの産物も含む。食用から非食用のものまで種類も多く、用途も多様である。おもなものは、キノコ類(シイタケ、エノキタケ、ナメコ、ヒラタケ、キクラゲ、マツタケなど)、樹実類(クリ、クルミなど)、油脂類(木ろう、生ウルシ、松脂(まつやに)、椿油(つばきあぶら)など)、薬木・薬草類(キハダ皮、オウレンなど)、山菜類(ワラビ、ゼンマイ、ネマガリダケなど)、タケノコ、ワサビ、シュロ皮、タケ皮、タケ材、キリ、木炭などがある。特用林産物の生産は産業の少ない農山村での重要な地場産業である。キノコ類の生産の発展は、人工栽培や周年栽培の技術開発や流通機構の近代化などとともに自然食品、健康食品としてのイメージの定着も大きい要因である。非食用品目は需要、生産ともに先細りであるが、伝統工芸につながるウルシ、竹材や、薬木・薬草も根強い需要がある。また木炭も、燃料以外に土壌改良材、水質浄化剤、調湿材などの新用途の需要が増加している。なお、樹皮、小枝、葉、樹液などを利用する樹種を特用樹種という。
[蜂屋欣二]