特発性拡張型心筋症(読み)トクハツセイカクチョウガタシンキンショウ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

特発性拡張型心筋症
とくはつせいかくちょうがたしんきんしょう

高血圧、心臓弁膜症、虚血性(冠動脈性)心疾患などのはっきりした原因がないのに、心室の筋肉の収縮がきわめて悪くなり、左心室の内腔(ないくう)が拡張してしまう疾患。特発性うっ血型心筋症ともいう。指定難病。病因については、患者の心筋からウイルスが検出されていることから、ウイルス性心筋炎との関連も考えられている。家族性の発症は日本では5%程度であるが、外国では20~30%と報告されていて、心筋の収縮に関連する遺伝子の変異で拡張型心筋症の病態になることもあるとされている。1999年(平成11)の厚生省(現、厚生労働省)の調査によると日本の発症率は10万人に14人で、男女比は2.6:1と男性に多く、男女とも60歳代がもっとも多い。
 初期の症状は、労作時の呼吸困難、動悸(どうき)や疲れやすさなどであるが、自覚症状があまりなく、集団検診で発見されることも多い。進行すると安静時にも呼吸困難が出現し、発作性夜間呼吸困難や、起坐(きざ)呼吸(呼吸は臥位(がい)より坐位のほうが楽になるため)もみられる。また不整脈、動悸、胸部の圧迫感、胸痛なども出現する。胸部X線検査では心拡大、心電図の異常、心エコー検査では心内腔の拡張などが認められる。治療は、身体活動の制限、食塩と水分の摂取制限、薬物療法が行われる。不整脈による突然死を防ぐために、植え込み型除細動器や人工ペースメーカーも使用される。死因の多くは心不全または不整脈である。[大久保昭行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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