犬上(読み)いぬかみ

精選版 日本国語大辞典 「犬上」の意味・読み・例文・類語

いぬかみ【犬上】

滋賀県中東部の旧郡名。琵琶湖東岸犬上川芹川流域を占めた。現在の彦根市の地にあたる。近江国歌枕
万葉(8C後)一一・二七一〇「犬上の鳥籠(とこ)の山なる不知哉(いさや)川いさとを聞こせ我が名告(の)らすな」

いぬかみ【犬上】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「犬上」の意味・わかりやすい解説

犬上
いぬかみ

滋賀県中東部の郡名、河川名。犬上郡近江(おうみ)十二郡の一つ。『万葉集』には狗上、『和名抄(わみょうしょう)』では犬上と書く。『古事記』景行(けいこう)天皇の条には犬上君の名がみえるが、遣隋使(けんずいし)、遣唐使に任命された犬上御田鍬(いぬがみのみたすき)はこの一族と伝えられる。犬上川は壬申(じんしん)の乱の戦場ともなった。犬上郡には鳥籠駅家(とこうまや)が設置され、式内社も5座が鎮座している。鳥籠山は『万葉集』などにも詠まれ、歌枕(うたまくら)となっている。2012年(平成24)現在、区画としての犬上郡には豊郷(とよさと)、甲良(こうら)、多賀(たが)の3町が属する。

高橋誠一

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