犯罪被害者等給付金支給法(読み)ハンザイヒガイシャトウキュウフキンシキュウホウ

デジタル大辞泉 の解説

はんざいひがいしゃとうきゅうふきんしきゅう‐ほう〔ハンザイヒガイシヤトウキフフキンシキフハフ〕【犯罪被害者等給付金支給法】

《「犯罪被害者給付金支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」の略称》犯罪行為により不慮の死を遂げた被害者の遺族や、重大な傷病を負ったり障害が残ったりした被害者に対して、国が一時金を支給するとともに、継続的に援助する措置を講じることを定めた法律。昭和55年(1980)に「犯罪被害者等給付金支給法」として制定。その後、数回の法改正により支援対象の拡大、給付額の引き上げ、支給要件緩和などが行われ、平成20年(2008)から現在の法律名に改正された。→犯罪被害者給付制度犯罪被害者等基本法

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百科事典マイペディア の解説

犯罪被害者等給付金支給法【はんざいひがいしゃとうきゅうふきんしきゅうほう】

犯罪の被害者(遺族を含む)に対して公的基金から金銭を支給することを定めた法律(1980年)。1960年代から欧米で導入され始めた犯罪被害者救済制度のひとつで,日本では特に1974年の三菱重工ビル爆破事件などが法律制定の直接的契機となった。給付金の支給には,犯罪行為の種類や被害の程度などに関して一定の要件があり,都道府県公安委員会が裁定権限を有する。2001年の同法改正により,支給対象の拡大と支給額の引上げが行われた。給付金を支給した限度で,国が被害者の損害賠償請求権を取得する。遺族が外国人で日本国内に住所を有していない場合は支給されないが,この点は改正の必要が指摘されている。→犯罪被害者救援基金被害者学

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世界大百科事典(旧版)内の犯罪被害者等給付金支給法の言及

【被害者補償】より

…最近まで日本にはこのような制度がなかったが,従来の法制度の下では,通り魔的な殺人,傷害,爆弾事件等の被害者やその遺族に対する民事上の損害賠償による救済が,加害者の無資力や不明等により,ほとんど機能しておらず,労働災害や自動車事故等の補償に比べて不均衡を生じていたこと,および刑事司法制度自体には被害者の救済につき格別の考慮をはらうところが乏しかったという事情があった。加えて外国でも1960年代から70年代にかけて,ニュージーランド,イギリス,アメリカ諸州,オーストラリア,カナダ,スウェーデン,オーストリア,フィンランド,西ドイツ,オランダ,フランスが,制度の枠組みの差こそあれ,次々と被害者救済制度を新設,日本でも,国民の法制度に対する不信感を除き,損害賠償の補充,刑事政策上の要請,および苦境にある被害者やその遺族に対する福祉の拡充を目的として,80年,犯罪被害者等給付金支給法が制定された。通り魔的犯罪の被害の救済という趣旨から〈犯罪行為〉は必ずしも刑法上の〈犯罪〉の概念とは一致せず,責任無能力者の行為など刑法上処罰されない行為も含まれる反面,加害者の〈過失による行為〉等は含まれない(2条1項)。…

※「犯罪被害者等給付金支給法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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