(1)憲法,根本法と同義に,国家の基本組織を規定する法(fundamental law)の意味で用いられることがある。16~17世紀のヨーロッパでは,他の諸法よりも高次の効力を有し,君主ですら一方的に変更しえない法と観念されていたが,J.ロックなどの自然法思想と市民革命の成果に採り入れられ,近代憲法の概念と結びついた。(2)日本では,特定の行政領域における国の行政上の基本的理念,政策,方針を明らかにするために制定された法律にこの名称を付することがある。教育基本法,原子力基本法,災害対策基本法,公害対策基本法などがその例である。これらの基本法は,関係法令に対して一定の指導性ないし方向性をもつことが要請されているが,その法形式が法律であるところから,その形式的効力は通常の法律との間に上下関係がない。(3)一定の法律関係において,より基本的な法律という意味で用いられることがある。たとえば,刑法を犯罪・刑罰に関する基本法という場合などである。
執筆者:中島 茂樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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