精選版 日本国語大辞典 「猿滑り」の意味・読み・例文・類語
さる‐すべり【猿滑・百日紅】
- 〘 名詞 〙
- ① ミソハギ科の落葉高木。中国南部原産で、観賞用に庭木や盆栽にされる。幹は高さ三~七メートルになり、淡赤褐色で平滑な樹皮をもち、ところどころにこぶがある。葉は対生かほぼ対生で革質の楕円形。七~九月、枝の先に小さな六弁花を円錐状に密生してつける。花弁は円形で著しくしわがある。花色は淡紅、紅、淡紫、紫、浅黄色など。果実は径約一センチメートルの楕円球形。材は緻密で堅く、細工物に使う。木の肌がなめらかでサルも滑り落ちるというところからこの名がある。漢名、紫薇、百日紅。さるなめり。ひゃくじつこう。《 季語・夏 》
- [初出の実例]「同じ草木の中にも犬槇、犬黄楊(いぬつげ)、或は猿すべりなどと言はれし、只今皆畜生道にかはる事なし」(出典:御伽草子・草本太平記(有朋堂文庫所収)(近世初)下)
- ② 植物「ねじき(捩木)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
- ③ 植物「やまこうばし(山香)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
- ④ 植物「なつつばき(夏椿)」の異名。
- ⑤ 植物「ひめしゃら(姫沙羅)」の異名。
- ⑥ 植物「りょうぶ(令法)」の異名。
- ⑦ 和船の用具の一つ。樫または竹を短冊状に削ったものを編み並べた小さなすだれのようなもの。帆桁(ほげた)に結びつけ、帆を上げたり下げたりするのに、なめらかにすべらせるために用いる。うちまわし。〔和漢船用集(1766)〕
- ⑧ =さるばい(猿匐)