王績(読み)おうせき(その他表記)Wáng Jī

精選版 日本国語大辞典 「王績」の意味・読み・例文・類語

おう‐せきワウ‥【王績】

  1. 中国、隋代末期から唐代初期の隠逸詩人。字(あざな)無功。号は東皋子。山西龍門の人。陶淵明を慕い、時に仕官したが後年辞し、酒と詩を友として余生を送った。代表作野望」。(五八五‐六四四

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改訂新版 世界大百科事典 「王績」の意味・わかりやすい解説

王績 (おうせき)
Wáng Jī
生没年:585-644

中国,隋末・初唐の詩人。字は無功。東皋子(とうこうし)と号する。《文中子》で知られる王通の弟。絳州竜門(山西省河津)の人。初め隋の官吏となったが,まもなく郷里に帰り,唐になって再び門下省待詔などを歴任した。無類の酒好きで,斗酒学士と称された。のち郷里に隠棲し,田園生活を賛美する詩をのこした。陶淵明を敬慕し,〈五柳先生伝〉にならって,〈五斗先生伝〉を著した。《東皋子集》3巻が伝わる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王績」の意味・わかりやすい解説

王績
おうせき
Wang Ji

[生]開皇5(585)
[没]貞観18(644)
中国,隋末唐初の詩人,隠士。絳州竜門 (山西省河津の西) の人。字,無功。号,東皐子 (とうこうし) 。儒者王通 (文中子) の弟。隋の大業年間に科挙に合格,秘書省正字となったが,朝廷内にいることを嫌い,揚州六合県の丞となった。しかしここでも酒ばかり飲んで仕事をせず,隋末で世の中が混乱するとさっさと郷里へ帰った。唐初,召されて再び仕官,日に3升の酒が飲めるという理由で門下省待詔となり,やがて特に1斗の酒が支給されるようになったので「斗酒学士」と呼ばれた。やがてこの職も辞し,みずから求めて酒造り名人の太楽署史焦革のもとに参じたが,革が死ぬと黄河のほとりに隠棲し,酒と老荘の書とを友として一生を終えた。陶淵明,阮籍 (げんせき) らを慕って,酒を詠じるなかにその哲学をこめ,また田園生活を題材とした詩が多い。詩文集『東皐子集』 (3巻) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「王績」の意味・わかりやすい解説

王績
おうせき
(585?―644)

中国、隋(ずい)末唐初の詩人。絳州(こうしゅう)竜門(山西省河津(かしん)県)の人。字(あざな)は無功。東皐子(とうこうし)と号す。思想家王通(文中子)の弟。隋の大業年間(605~617)に科挙に及第。隋で秘書省正字、唐で門下省の待詔(たいしょう)などを歴任する。酒を好み、門下省の待詔のときは、日に3升の支給があるのが魅力で務めていたという。辞職後は酒と老荘の書を友とする生活を送った。陶淵明(とうえんめい)(陶潜(とうせん))に深く傾倒し、『酔郷記』『五斗先生伝』『無心子伝』などの著述がある。質朴な詩風をもち、六朝(りくちょう)末以来の華美な詩が流行していた当時にあって異彩を放った。『東皐子集』3巻があり、『唐詩選』に収める「野望」詩が広く知られる。

[齋藤 茂]

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