琴歌(読み)コトウタ

デジタル大辞泉 「琴歌」の意味・読み・例文・類語

こと‐うた【琴歌/×箏歌】

琴に合わせてうたう歌。
歌舞伎下座音楽の一。1感じを取り入れたもので、時代物御殿の場の幕開きなどに用いる。普通は三味線伴奏とする。

きん‐か【琴歌】

琴に合わせてうたう歌。また、琴の音と歌声
和琴わごんの伴奏で、神楽のときなどにうたった上代歌謡。→琴歌譜

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精選版 日本国語大辞典 「琴歌」の意味・読み・例文・類語

こと‐うた【琴歌・琴唄】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (こと)を伴奏にしてうたう歌謡。三味線の影響を受けないものと、受けたものとがあるが、一般に他の三味線音楽より優雅高尚な歌謡と考えられた。
    1. [初出の実例]「彼女はききとれないほどつぶれた声で琴歌をうたふ」(出典:銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉前)
  3. 歌舞伎の下座音楽の一つ。三味線の伴奏でうたうが、の感じを取り入れたもの。時代物の御殿の場の幕あきなどに使われる。テンポが遅く優雅なのが特徴。
    1. [初出の実例]「琴歌にて幕引」(出典:歌舞伎・けいせい嵐山(1739)序中入之壱)

きん‐か【琴歌】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 琴に合わせてうたう歌。また、琴の音や歌声。
    1. [初出の実例]「琴歌馬上怨、楊柳曲中春」(出典:懐風藻(751)与朝主人〈釈弁正〉)
    2. [その他の文献]〔後漢書‐馬融伝〕
  3. 日本固有の六弦琴和琴)に合わせて、神楽のときなどに歌った上代の歌謡。→琴歌譜

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普及版 字通 「琴歌」の読み・字形・画数・意味

【琴歌】きんか

琴を弾いて歌う。斉・孔稚珪〔北山移文〕琴歌に斷(た)えて、酒賦續(つ)ぐ無し。常に結課に綢繆(ちうびう)し(こだわり)、(つね)に折獄綸(ふんりん)たり。

字通「琴」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の琴歌の言及

【陽関三畳】より

…三畳については起句以外の3句を2度歌う,結句を3度歌うなど諸説がある。のち歌詞を前後に付加して琴歌にした。現存最古の《浙音釈字譜》(15世紀)所収のもの以降,十数種あるが《琴学入門》(19世紀中葉)のが最も流行している。…

※「琴歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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