日本大百科全書(ニッポニカ) 「瓢箪山古墳」の意味・わかりやすい解説
瓢箪山古墳
ひょうたんやまこふん
古墳の形状が名称の由来となった瓢箪山という古墳は各地にあるが、大阪府東大阪市四条町の双円墳と、滋賀県近江八幡(おうみはちまん)市の前方後円墳とが名高い。とくに安土瓢箪山古墳(長さ162メートル)は、1936年(昭和11)に調査が行われ、後円部での三つの竪穴(たてあな)式石室のほか、前方部でも二つの箱式石棺の存在が明らかとなり、前期古墳での複数の埋葬施設のある好例となった。後円部の石室のうち、中央の石室がりっぱで、内部に長大な木棺を納めていたと推定される。銅鏡、碧玉(へきぎょく)製品(鍬形石(くわがたいし)、車輪石(しゃりんせき)、石釧(いしくしろ))、管玉(くだたま)、筒形銅器、鉄製刀剣、鉄鏃(てつぞく)、銅鏃、鉄製短甲(たんこう)など副葬品が豊かであった。他の二石室には副葬品は少なく、前方部の石室も石釧と勾玉(まがたま)、管玉などだけが出土した。1957年(昭和32)国史跡に指定された。
[森 浩一]