出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
神奈川県横須賀(よこすか)市田戸台にある縄文遺跡。縄文時代早期の田戸下層式・上層式土器の標式遺跡である。京浜急行電鉄京急安浦(やすうら)駅の裏手、東京湾を望む標高約40メートルの台地上にある。1932年(昭和7)山内清男(やまのうちすがお)・赤星直忠(なおただ)によって発掘調査され、包含層には上下の層位の区別がみられた。下層の土器は、平行沈線文・貝殻文・条痕(じょうこん)文などをおもな文様とし、独得な形の尖底(せんてい)を呈する。上層の土器は、ほかに隆線文・縄文その他の文様をもち、一定の構図を表す。丸底を主体とし、口縁には小さな突起を有する。胎土には繊維痕をとどめる。なお、高さ40センチメートルを超える大型の土器もみられる。各種の剥片(はくへん)石器、礫器(れっき)が伴出した。遺跡は、昭和30年代に横須賀簡易裁判所・区検察庁建造の際に壊滅した。
[岡本 勇]
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