検察庁(読み)ケンサツチョウ

デジタル大辞泉 「検察庁」の意味・読み・例文・類語

けんさつ‐ちょう〔‐チヤウ〕【検察庁】

法務省の所管に属し、検察官の行う事務を統括する官署最高検察庁高等検察庁地方検察庁区検察庁があり、それぞれ最高裁判所高等裁判所地方裁判所および家庭裁判所簡易裁判所に対応している。

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精選版 日本国語大辞典 「検察庁」の意味・読み・例文・類語

けんさつ‐ちょう‥チャウ【検察庁】

  1. 〘 名詞 〙 法務省の所管に属する行政官庁。検察官の行なう事務を統括する。昭和二二年(一九四七設置。最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁があり、それぞれ最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所に対応して置かれる。旧制の裁判所検事局にあたる。
    1. [初出の実例]「県庁の金庫を襲った犯人は、もう検察庁にまはしてあるかと問ひあはせてゐたさうである」(出典:片棒かつぎ(1950)〈井伏鱒二〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「検察庁」の意味・わかりやすい解説

検察庁
けんさつちょう

検察官の行う事務を統括するところ。検察庁は、一般の行政機関とは異なり、多数の官庁(各検察官はそれぞれが官庁である)が組織化されたものであり、そのため検察庁自体は訴訟法上なんらの権限も有しない官署である。検察庁には、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁の4種がある(検察庁法1条)。最高検察庁は最高裁判所に、高等検察庁は各高等裁判所に、地方検察庁は各地方裁判所に、区検察庁は各簡易裁判所に、それぞれ対応して置かれる。さらに地方検察庁は各家庭裁判所にもそれぞれ対応する。最高検察庁の位置ならびに最高検察庁以外の検察庁の名称および位置は、政令で定められる。法務大臣は、必要と認めるときは、高等裁判所、地方裁判所または家庭裁判所の支部にそれぞれ対応して高等検察庁または地方検察庁の支部を設け、当該検察庁の事務の一部を取り扱わせることができる(同法2条)。「最高検察庁の位置並びに最高検察庁以外の検察庁の名称及び位置を定める政令」(昭和22年政令第35号)によれば、2010年(平成22)時点で、最高検察庁は東京都に置かれ、高等検察庁には東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台札幌、高松各高等検察庁があり、地方検察庁には東京地方検察庁以下50庁があり、区検察庁には東京区検察庁以下438庁がある。また、やはり、2010年時点において、昭和23年法務庁令第1号によれば、高等検察庁には名古屋高等検察庁金沢支部、広島高等検察庁岡山支部、同松江支部、福岡高等検察庁宮崎支部、同那覇支部、仙台高等検察庁秋田支部が設けられ、地方検察庁支部設置規則(昭和22年司法省令第42号)によれば、地方検察庁には東京地方検察庁立川支部以下203支部が設けられている。

[内田一郎・田口守一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「検察庁」の意味・わかりやすい解説

検察庁
けんさつちょう

検察官の行なう事務を統括する官署(検察庁法1条)。法務省の特別の機関として設置された(国家行政組織法8条の3,法務省設置法14条)。検察庁には,最高検察庁,高等検察庁,地方検察庁および区検察庁があり,裁判所組織に対応して上下関係にある全国統一的・階層的組織となっている。検察官は,犯罪の捜査公訴提起公判の維持,裁判の執行の監督など,主として刑事司法に関する権限をもつが(検察庁法4,6条),検察官のこのような権限は本来の司法権そのものではなく,国家の刑罰権(→刑罰)の具体的な実現を目的とする一種の行政作用(→行政権)である。検察官は,いずれかの検察庁に所属し,それぞれが独任制の官庁として,みずからの固有の権限としてその職務を行なうが,具体的な職務執行にあたっては,検事総長頂点とする上命下服関係に立ち,各検察庁の長や上席検察官の指揮命令に服しなければならない(検察官同一体の原則)。法務大臣には,検察事務に関して,検察官に対する一般的指揮監督権が認められているが,不当な政治的圧力介入を排除するために,個々の事件の取り調べまたは処分については検事総長のみを指揮することができると定め(検察庁法14条),一定の制限が課せられている(→指揮権)。

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百科事典マイペディア 「検察庁」の意味・わかりやすい解説

検察庁【けんさつちょう】

検察官が事務をとる役所。法務省の所管。検察庁法(1947年)に基づき,最高検察庁高等検察庁地方検察庁区検察庁の4種があり,それぞれ最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所に対応して設置されている。
→関連項目吉永祐介

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世界大百科事典(旧版)内の検察庁の言及

【検察制度】より

… 戦後,日本国憲法の制定に伴い,司法と行政との分離がより徹底され,司法大臣の監督下にあった裁判所が三権の一翼として独立し,検察と裁判が分離された。裁判所構成法に代えて裁判所法(1947公布)および検察庁法(1947公布)が制定され,検察庁法が現在の検察制度の基本法となるのである。
[現在の検察制度]
 検察庁法によると,検察官は,検事総長,次長検事,検事長,検事および副検事の総称である。…

※「検察庁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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