甲斐無い(読み)カイナイ

デジタル大辞泉 「甲斐無い」の意味・読み・例文・類語

かい‐な・い〔かひ‐〕【×斐無い】

[形][文]かひな・し[ク]
何かをしただけの効き目、効果が現れない。何をしたところでどうすることもできない。むだだ。「後悔してみても、―・いことだ」
値うちがない。取るに足らない。「生きていても―・い命だ」
意気地がない。ふがいない。かいしょうがない。
「かく思ふ事は―・き心かなと我と心を恥ぢしめて」〈伽・三人法師
[派生]かいなさ[名]
[類語]駄目無駄無益無意味無効

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「甲斐無い」の意味・読み・例文・類語

かい‐な・いかひ‥【甲斐無・効無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]かひな・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 物事を行なったり、希望したりしただけの効果がない。やっただけのしるしがない。
    1. [初出の実例]「『あなかひなのわざや』との給ひけるよりぞ、思ふにたがふ事をば、かひなしと言ひける」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「藻塩草ならでは敷物もなく、礒菜(いそな)より外は可進物も侍らねば、中々宿を借し奉ても甲斐(カイ)なしと侘(わび)ける」(出典太平記(14C後)三五)
  3. いまさら行動したり希望したりしてみても仕方がない。ほかに方法がない。しようがない。
    1. [初出の実例]「なにか、さしもおぼす。今は世になき人の御事はかひなし。おのれあれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  4. とるにたりない。値打ちがない。
    1. [初出の実例]「かひなき身ながらも、〈略〉とざまかうざまに、ものを思ししるまで、見たてまつらむとこそ思ひ給へつれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)
  5. ( 「かいなくなる」の形で ) 死ぬ、むなしくなるの意にいう。
    1. [初出の実例]「もし、かひなくなりはてはべりなば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)
  6. 心意気が弱々しい。意気地がない。甲斐性がない。ふがいない。
    1. [初出の実例]「ココロガ cainǒte(カイナウテ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  7. 体が弱い。体の機能が衰えている。病身である。
    1. [初出の実例]「五十は始て衰るほどに、血気も衰て、うでも弱く膝もかいなくなるほどに」(出典:応永本論語抄(1420)季氏)
  8. 十分でない。乏しい。恵まれない。悪い。
    1. [初出の実例]「はて扠(さて)運のかひない男だ」(出典:黄表紙・紅皿欠皿往古噺(1774か))

甲斐無いの派生語

かいな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

甲斐無いの派生語

かいな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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