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三人法師 さんにんほうし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

三人法師
さんにんほうし

室町時代の御伽草子。別名『三人懺悔冊子 (さんげのそうし) 』『三人』。2巻。高野山に修行する玄松 (俗名糟谷四郎左衛門,恋女房を討たれて出家) ,玄竹 (俗名三条荒五郎,強盗で糟谷の妻を殺したが,わが妻の貪欲に無常を感じ出家) ,玄梅 (楠木の一族篠崎六郎左衛門,楠木正儀〈まさのり〉がその反対を聞かず足利に降参したので出家) の3人が発心遁世の由来を語り合う。室町小説中の佳作で,江戸時代初期の『二人比丘尼』『七人比丘尼』などはその系統の懺悔物。谷崎潤一郎,菊池寛らにも本書に取材した作がある。

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デジタル大辞泉の解説

さんにんほうし〔サンニンホフシ〕【三人法師】

室町後期の御伽草子。2巻。作者未詳。高野山隠棲(いんせい)した三人の僧の遁世(とんせい)に至るまでの懺悔譚(ざんげたん)。

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世界大百科事典 第2版の解説

さんにんほうし【三人法師】

物語。通常2巻。作者不詳。室町時代の成立か。高野山で修行する3人の僧が,おのおのの遁世のいきさつを語る構成。第1の僧は,足利尊氏に仕えていた武士で,愛妻を殺されたことを縁に出家した。第2の僧は,第1の僧の妻を殺害した強盗で,殺された女の髪を得て喜ぶ妻のあさましさを見て出家した。第3の僧は,楠木の一族で,楠木正儀(まさのり)が北朝に降参したのを機に,妻子への愛をふり切って出家した。同座する複数の僧が出家の因縁を懺悔(ざんげ)する構成は,同じく高野山を舞台とする《高野物語》にあり,《沙石集》の説話,《幻夢物語》も,一つの殺人事件が2人の出家の因であったことが懺悔の座で明らかになるという趣向をもつ。

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大辞林 第三版の解説

さんにんほうし【三人法師】

御伽草子。二巻。作者未詳。室町後期成立。高野山に修行する三人の法師が、遁世とんせいの由来を懺悔ざんげする。三人懺悔の冊子。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

三人法師
さんにんほうし

室町期の物語。2巻。作者不詳。3人の高野聖(こうやひじり)の懺悔(ざんげ)による発心譚(ほっしんたん)。足利尊氏(あしかがたかうじ)が将軍時代、そのお供をしていた糟谷(かすや)四郎左衛門は恋女房が惨殺されて出家したという第1話。強盗荒五郎が、年末に女房に責められ高貴な女を襲い殺して戻ると、女房はその女の髪まで切りに出かける。その業(ごう)の深さに感じて発心したという第2話。父が楠木正成(くすのきまさしげ)に殉じて切腹したという篠崎(しのざき)六郎左衛門は、主君が足利へ降参したのを機に出家修行の身となったが、妻の死と遺児のことを耳にすると高野山に登ったという第3話(『西行(さいぎょう)物語』と同工)からなり、中世の現実を踏まえた作。『太平記』巻35「北野通夜物語」の系譜にたち、江戸時代初期の仮名草子『七人比丘尼(しちにんびくに)』、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔(いろざんげ)』の先蹤(せんしょう)[秋谷 治]
『市古貞次校注『日本古典文学大系38 御伽草子』(1958・岩波書店)』

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世界大百科事典内の三人法師の言及

【枠物語】より

…枠物語の形式は西欧文学にのみみられるものではなく,物語文学を持つ諸民族の文学に共通に存在するといえよう。日本でも中世の説話や御伽草子などにこの形式がみられるが,たとえば室町期の小説《三人法師》は3人の高野聖のそれぞれの発心譚によって全体が構成される,枠物語のすぐれた小品である。 近年では,欧米を中心に,SFやファンタジーのジャンルも含めて,物語形式の復活による小説の活性化がさまざまに試みられており,枠物語の形式をとる作品が現れる一方,ロートマンやウスペンスキーら現代ソビエトの記号論学者は,芸術テキストの生成の問題としてこの形式に注目する研究を発表している。…

※「三人法師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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