申酉(読み)さるとり

精選版 日本国語大辞典 「申酉」の意味・読み・例文・類語

さる‐とり【申酉】

[1] 〘名〙 陰暦六月一五日、東京都千代田区永田町の日枝神社で行なわれた祭礼俗称江戸時代、勤番南伝馬町が猿の烏帽子狩衣姿のだし車、大伝馬町が鶏に鞨鼓(かっこ)山車(だし)を出したところからいう。
清元・再茲歌舞妓花轢(1826)お祭「さるとりの花もさかりの暑にも負けぬ気性と見かけから」
[2] ((一)から転じて) 清元「再茲歌舞妓花轢(またここにかぶきのはなだし)」の通称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「申酉」の意味・わかりやすい解説

申酉
さるとり

歌舞伎(かぶき)舞踊。清元(きよもと)。別称「お祭(まつり)」。本名題(ほんなだい)『再茲歌舞妓花轢(またここにかぶきのはなだし)』。2世桜田治助(じすけ)作。作曲は初世清元斎兵衛(さいべえ)という。1826年(文政9)6月、江戸・市村座で3世坂東三津五郎(ばんどうみつごろう)が初演。「申酉の祭」といわれた江戸・山王神社の祭礼を描いた三段返しの舞踊で、武内宿禰(たけしうちのすくね)の山車(だし)人形、漁師の網打ち、金棒引の鳶頭(とびがしら)のうち、最後の鳶頭の踊りが今日に残った。内容は口説(くどき)、字余り都々逸(どどいつ)、拳(けん)の踊り、引くもの尽くし、木遣(きやり)くずしなどで、江戸前の粋(いき)な気分が見どころ。鳶頭のほか「からみ」の若い者が数人登場するが、女方が芸者姿で出ることもあり、演出・振付けはかならずしも一定していない。

[松井俊諭]

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「申酉」の解説

申酉
(通称)
さるとり

歌舞伎・浄瑠璃外題
元の外題
再爰歌舞伎花轢
初演
文政9.6(江戸・市村座)

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