男性尿道腫瘍(読み)だんせいにょうどうしゅよう(英語表記)Male urethral tumor

六訂版 家庭医学大全科 「男性尿道腫瘍」の解説

男性尿道腫瘍
だんせいにょうどうしゅよう
Male urethral tumor
(腎臓と尿路の病気)

どんな病気か

 男性の尿道は、解剖学的に膀胱側から前立腺部(ぜんりつせんぶ)尿道、尿道膜様部(まくようぶ)陰茎部(いんけいぶ)尿道に分けられます(図13)。それぞれの部位により尿道粘膜組織が異なります。

①良性腫瘍

 尿道ポリープ、嚢胞(のうほう)血管腫(けっかんしゅ)乳頭腫(にゅうとうしゅ)尖圭(せんけい)コンジローマなどがあり、通常は電気メスを用いた切除が一般的です。

②悪性腫瘍(がん)

 50~75%は膜様部~尿道球部(きゅうぶ)に発生し、残りは前部尿道、とくに舟状窩(しゅうじょうか)に多くみられます。頻度は男性の全悪性腫瘍の0.1%以下で、好発年齢は40~70歳です。発症の誘因には慢性の刺激、尿道の狭窄外傷などがあります。

 組織型でみると扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんが最も多く、次いで移行上皮(いこうじょうひ)がん、(せん)がんの順です。腺がんは前立腺部尿道粘膜下の前立腺組織とその導管カウパー腺から発生します。

症状の現れ方

 排尿困難と腫瘤(しゅりゅう)の触知が最も多く、そのほか血尿、尿道痛、膿性分泌物などがあります。進行したものでは尿道周囲膿瘍(のうよう)や尿道(ろう)もみられます。

検査と診断

 腫瘍を見つける診断としては、視診・触診、尿道造影、尿道鏡+生検(組織をとって調べる)があります。病期の診断としては、CT、MRI検査で腫瘍の浸潤(しんじゅん)の程度やリンパ節への転移の有無を確認し、さらに必要であれば胸部X線、骨シンチグラフィを行います。

治療の方法

 病期によって、それぞれの治療計画が立てられます。

①表在がん

 内視鏡による切除術や開腹による腫瘍切除など、尿道、陰茎の保存的手術が主体になります。

②浸潤がん

 前部尿道の腫瘍に対しては陰茎部分を切除する場合がありますが、後部尿道の腫瘍が海綿体浸潤した場合は、陰茎、陰嚢(いんのう)に加えて恥骨(ちこつ)と膀胱前立腺を含めた切除が行われます。さらに、鼠径部(そけいぶ)リンパ節郭清術(かくせいじゅつ)も同時に行います。

 放射線療法は単独での成績はよくありませんが、進行例で手術との併用療法が行われます。化学療法は術前化学療法と術後再発の場合に行われ、シスプラチンフルオロウラシルブレオマイシンメトトレキサートなどが用いられます。

 予後は、5年生存率が全患者さんで約50%ですが、後部尿道がんでは進行例が多く約5~15%です。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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