畜仆(読み)けものたおし

精選版 日本国語大辞典 「畜仆」の意味・読み・例文・類語

けもの‐たおし ‥たふし【畜仆】

〘名〙 国つ罪一つ呪術によって家畜を殺すこと。
延喜式(927)祝詞(出雲板訓)「高津鳥の災畜仆(ケモノタフシ)、虫物(ましもの)する罪、許々太久(ここたく)の罪出(い)てむ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「畜仆」の意味・わかりやすい解説

畜仆
けものだおし

上代における罪の一種で、家畜類を殺すこと。上代には天津罪(あまつつみ)と国津罪(くにつつみ)の2種があり、畜仆は国津罪(14種)の一つである。国津罪の解釈には諸説あるが、おおむね、殺傷近親相姦(そうかん)、呪詛(じゅそ)の3類に分けられる。「祝詞(のりと)」(「六月晦大祓(みなづきのつごもりのおおはらえ)」)に、畜仆が「蠱物(まじもの)せる罪」とともに並べられているところから、それと同類のなんらかの呪術的手段によるものと推定されている。上代人の罪と制裁観念をうかがう史料の一つである。

[藁科勝之]

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