番う(読み)ツガウ

デジタル大辞泉 「番う」の意味・読み・例文・類語

つが・う〔つがふ〕【番う】

[動ワ五(ハ四)]
二つのものが一組みになる。組み合う。対になる。「仲よく―・うおしどり
雌雄が交尾する。つるむ。「小鳥が―・う」
つがえる1」に同じ。「矢を―・う」
先駆けや車副くるまぞい左右に立てる。
「御ありきの折はおぼろけにて御前ごぜん―・ひ給はず」〈大鏡・時平〉
かたく約束する。
使者にむかひ―・ひし詞は取りかへされず」〈浄・井筒業平〉
[動ハ下二]つがえる」の文語形
[類語]つるむ発情盛る求愛交尾

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「番う」の意味・読み・例文・類語

つが・うつがふ【番】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 継ぎ合うの意 )
    1. 二つのものが組み合う。いっしょになる。対(つい)になる。
      1. [初出の実例]「冬夜のしもうちはらひなくことはつがはぬをしのなにぞありける」(出典:小大君集(1005頃))
      2. 「在中、平中とてつがひて世のすきものといはれけるが」(出典:十訓抄(1252)一)
    2. 雌雄が交接する。交尾する。つるむ。
      1. [初出の実例]「横町に犬の番(ツガ)って居るのも黙っては通さぬ世間の口は」(出典:売花翁(1893)〈斎藤緑雨〉)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙
    1. 二つのものを組み合わせる。対にする。いっしょにする。
      1. [初出の実例]「草を縛(ツカヒ)て坐に作るべし」(出典:小川本願経四分律平安初期点(810頃))
      2. 「表着、裳、唐衣など、やがてその色々にて、つがひつつ」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)三)
      3. 「アシヲ tçugǒte(ツガウテ) ヌル〈訳〉二人が足を交互に入れて寝る」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. つがえる(番)
      1. [初出の実例]「与一鏑をとてつがひ、よぴいてひゃうどはなつ」(出典:平家物語(13C前)一一)
    3. かたく約束する。いいかためる。
      1. [初出の実例]「ぜひなくことばをつがひ」(出典:浮世草子・武道伝来記(1687)五)
    4. 用意する。準備する。そなえる。
      1. [初出の実例]「弓矢とりはいささかの所でも思ひでの詞をば、かねてつがゐをくべきで候ける物かな」(出典:平家物語(13C前)七)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙つがえる(番)

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