胎盤が子宮筋に強固に付着して
胎盤付着面の子宮壁に脱落膜が形成されない、あるいは帝王切開などによる
前置胎盤ではない場合の癒着胎盤では、分娩前診断の報告例はほとんどなく一般的には分娩前診断はできないといわれています。前置胎盤の場合には超音波やMRIによる分娩前診断が試みられていますが、十分であるとはいえない状態です。
いずれにしても、分娩時にはがしてみるまでは、確定的な診断は困難です。出血量が多くなければ、胎盤をはがさずに経過観察し、後日何らかの方法で摘出することが可能ですが、出血を伴う場合には大量出血に至ることが多く、動脈血流遮断・子宮摘出など母体を救命するためのさまざまな方法が考案されています。
上妻 志郎
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
分娩(ぶんべん)により胎児を娩出したあと、胎盤が子宮筋に癒着したままはがれ落ちない症状。胎盤は、胎児に酸素や栄養素を供給するとともに、胎児の各種臓器のかわりに消化や排泄(はいせつ)および呼吸を代行するが、通常は胎児娩出後に役割を終えると母体の子宮筋層からはがれ落ちる。しかし、妊娠と同時に子宮内部に形成されて分娩とともに子宮から脱落する基底脱落膜が欠損していたり、形成不全があって胎盤絨毛(じゅうもう)が子宮筋層内に侵入したりすると、胎盤は子宮壁との癒着のために脱落せずに子宮筋層にとどまり、剥離(はくり)が困難となる。なお、胎盤に欠損がみられず正常で、容易に用手剥離(直接手ではがす)が可能であるものは付着胎盤とよんで区別する。
癒着胎盤は、絨毛組織が筋層表面と癒着しているが子宮筋層には侵入していない楔入(せつにゅう)胎盤、子宮筋層内に限局して胎盤絨毛が侵入している嵌入(かんにゅう)胎盤、絨毛が子宮筋層を抜け子宮漿膜(しょうまく)面まで貫通している穿通(せんつう)(穿入)胎盤に分類される。
癒着胎盤の原因には、子宮内膜の先天的な形成不全や、子宮内膜炎、内膜掻爬(そうは)術など炎症や損傷の既往、帝王切開、子宮奇形などが考えられる。子宮口を覆うように胎盤が付着する前置胎盤に伴うことも多い。また多産婦や高齢妊婦に多く、卵子提供を受けた場合の出産で確率が高まることが指摘されている。胎盤圧出法によっても剥離しないことが多く、その場合には用手剥離が試みられるが、大量出血から死に至る危険性もあり、子宮全摘術も検討される。
[編集部]
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