物体の重量を弾性体の弾力とつり合わせ,フックの法則により物体の質量を測定するはかり。一般に秤量の小さなはかりでは線状ばね,つる巻ばねが,大きいものでは板ばね,環状ばねが用いられる。図はもっとも一般的なつる巻ばねを用いた上皿ばねばかりの構造を示す。皿を支えるロバーバル機構(平行四辺形ABCDからなるリンク機構)の皿受棒につる巻ばねの下端を,上端を零点調節ねじを介してはかり枠にかけ,皿上の物体の重量に比例したばねの伸びを皿受棒と連動するラックレバーで拡大し,ラックとピニオンで回転する指針の動きに変え分銅で校正した目盛板で物体の質量を読み取る。構造が簡単,安価であるが温度や重力などの影響を受ける。温度によるばねの弾力の変化はバイメタルでラックレバーの長さを自動的に変えて補正し,重力の影響(国内での最大差は1/1000程度)を受けるものは使用地域が指定される。精度は1/200~1/2500程度である。
執筆者:小林 好夫
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