日本大百科全書(ニッポニカ) 「白海バルト海運河」の意味・わかりやすい解説
白海バルト海運河
はっかいばるとかいうんが
Беломорско‐Балтийский Канал/Belomorsko-Baltiyskiy Kanal
北ヨーロッパの白海とバルト海を結ぶ小型船・艀(はしけ)用運河。白海につながるオネガ湾に臨むロシア連邦カレリア共和国ベロモルスクに発し、運河化されたビグ川、ビゴゼロ湖を経て、オネガ湖畔のポベネーツに至る。長さ約227キロメートル。白海から102メートル水位を高め、分水界を越えて69メートル下ってオネガ湖の水位に達する。19の閘門(こうもん)によって通航船を上下させる。オネガ湖以南は、運河化されたスビル川、ラドガ湖(水位標高5.2メートル)、および南岸に並行するラドガ運河(長さ約160キロメートル)、ネバ川を経て、ロシアのサンクト・ペテルブルグでバルト海に結ばれる。1931~1933年に建設され、バルト海と白海を短絡した。この運河の完成によって、カレリア地方の燐灰石(りんかいせき)、木材などの輸送が効率化され、沿岸地域の経済開発に大きく貢献したほか、中・小型潜水艦や掃海艇などの1000トン以下程度の比較的小型の海軍艦艇のバルト海・北氷洋間の移動が容易となるなど、戦略的、軍事的な効果も大きかった。10月より5月に至る期間は水路凍結のため通航不能となる。オネガ湖畔のメドベジィエゴルスクに運河管理局がある。
[青木栄一]