ロシア連邦北西部,北極海の一部であるバレンツ海の南にある大きな入江状の海。コラ半島とカニン半島の間に,南に向かって湾入し,奥はさらにカンダラクシャ,オネガ,ドビナ,メゼニの4湾に分かれる。海域約9万km2,最深点はカンダラクシャ湾の350m点,平均深度約89m,白海の全水量は8000km3と計算されている。最奥部には北ドビナ,オネガ,メゼニなどの大きな川が注いでいる。夏季の海水温は6~15℃,冬季は-1.7~1℃で,沿岸部は厚く結氷し,湾奥は密な浮氷でおおわれる。海水の塩分濃度は24~34.5‰であるが,河口付近ではさらに濃度を減ずる。干満差は通常1~3.5mであるが,メゼニ湾では10mに達する。湾口部では時計回り,湾奥部で反時計回りの海流が認められ,また湾奥からバレンツ海への定常流がある。定常流の成因は,大量の河川水の流入のほか,海面からの蒸発量より多い海上の降水量のためである。
白海は11世紀よりロシア人に知られていたが,海獣の多いことで有名であった。今もニシン,タラなどの漁業やアザラシ狩りが行われている。またベロモルスクからは河川,掘割り,湖沼をつらねた白海・バルト海運河があってサンクト・ペテルブルグなどと水上交通路で結ばれ,またボルガ・バルト水路によってカスピ海などへの内陸水路も開ける。18世紀前半にロシア皇帝ピョートル1世がペテルブルグを開くまでは白海~バレンツ海航路はロシアから西ヨーロッパへ直達する唯一の海上交通路であったが,以後その意味での重要性はうすれ,北極海沿岸部への物資補給路としての意味が大きくなっている。
執筆者:渡辺 一夫
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北極海の一部バレンツ海の属海で、ヨーロッパ・ロシアの北部の内海。ロシア連邦北部のコラ半島とカニン半島に挟まれる部分から、南西方向に奥深く湾入している。カンダラクシャ湾、オネガ湾、ドビナ湾、メーゼニ湾などを含む。英語名White Sea。面積約9万平方キロメートル。平均水深は67メートルであるが、カンダラクシャ湾はやや深く、深度350メートルに達する。中央部を除き、10~11月に結氷し、5~6月まで流氷がある。ニシン、タラ、サケなどを対象とした漁業、アザラシ猟などが盛んに行われる。コラ半島基部のカンダラクシャや、白海バルト海運河の北端にあたるベロモルスク、オネガ川河口のオネガ、北ドビナ川河口のアルハンゲリスク、メーゼニ川河口のメーゼニなどに港があり、北極海沿岸への物資輸送の基地となっている。18世紀初めにロシアがバルト海への出口を得るまでは、ロシア随一の海湾として重要であった。
[熊木洋太]
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