白海(読み)ハッカイ(英語表記)Beloe more

デジタル大辞泉 「白海」の意味・読み・例文・類語

はっ‐かい〔ハク‐〕【白海】

Beloe MoreБелое Море》ロシア連邦北西部にある、バレンツ海の属海。ニシン・サケ・タラなどの漁場。冬季は氷結。運河によってオネガ湖ラドガ湖を経てバルト海につながる。紀元前5500年ごろから描かれた岩絵が多く残り、2021年、「オネガ湖と白海の岩絵群」の名称で世界遺産文化遺産)に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「白海」の意味・読み・例文・類語

はっ‐かいハク‥【白海】

  1. ( [英語] White Sea の訳語 ) ヨーロッパ‐ロシア北西部にある北極海の湾入。コラ、カニン両半島にかこまれる。ニシン、タラ漁業やアザラシ猟などが盛ん。
    1. [初出の実例]「白海と氷海と相通ずるを以て転輸の便あり」(出典:輿地誌略(1826)一)

はく‐かい【白海】

  1. 〘 名詞 〙はっかい(白海)

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改訂新版 世界大百科事典 「白海」の意味・わかりやすい解説

白海 (はっかい)
Beloe more

ロシア連邦北西部,北極海の一部であるバレンツ海の南にある大きな入江状の海。コラ半島カニン半島の間に,南に向かって湾入し,奥はさらにカンダラクシャ,オネガ,ドビナ,メゼニの4湾に分かれる。海域約9万km2,最深点はカンダラクシャ湾の350m点,平均深度約89m,白海の全水量は8000km3と計算されている。最奥部には北ドビナ,オネガ,メゼニなどの大きな川が注いでいる。夏季の海水温は6~15℃,冬季は-1.7~1℃で,沿岸部は厚く結氷し,湾奥は密な浮氷でおおわれる。海水の塩分濃度は24~34.5‰であるが,河口付近ではさらに濃度を減ずる。干満差は通常1~3.5mであるが,メゼニ湾では10mに達する。湾口部では時計回り,湾奥部で反時計回りの海流が認められ,また湾奥からバレンツ海への定常流がある。定常流の成因は,大量の河川水の流入のほか,海面からの蒸発量より多い海上の降水量のためである。

 白海は11世紀よりロシア人に知られていたが,海獣の多いことで有名であった。今もニシン,タラなどの漁業やアザラシ狩りが行われている。またベロモルスクからは河川,掘割り,湖沼をつらねた白海・バルト海運河があってサンクト・ペテルブルグなどと水上交通路で結ばれ,またボルガ・バルト水路によってカスピ海などへの内陸水路も開ける。18世紀前半にロシア皇帝ピョートル1世がペテルブルグを開くまでは白海~バレンツ海航路はロシアから西ヨーロッパへ直達する唯一の海上交通路であったが,以後その意味での重要性はうすれ,北極海沿岸部への物資補給路としての意味が大きくなっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白海」の意味・わかりやすい解説

白海
はっかい
Белое Море/Beloe More

北極海の一部バレンツ海の属海で、ヨーロッパ・ロシアの北部の内海。ロシア連邦北部のコラ半島とカニン半島に挟まれる部分から、南西方向に奥深く湾入している。カンダラクシャ湾、オネガ湾ドビナ湾メーゼニ湾などを含む。英語名White Sea。面積約9万平方キロメートル。平均水深は67メートルであるが、カンダラクシャ湾はやや深く、深度350メートルに達する。中央部を除き、10~11月に結氷し、5~6月まで流氷がある。ニシン、タラ、サケなどを対象とした漁業、アザラシ猟などが盛んに行われる。コラ半島基部のカンダラクシャや、白海バルト海運河の北端にあたるベロモルスク、オネガ川河口のオネガ、北ドビナ川河口のアルハンゲリスク、メーゼニ川河口のメーゼニなどに港があり、北極海沿岸への物資輸送の基地となっている。18世紀初めにロシアがバルト海への出口を得るまでは、ロシア随一の海湾として重要であった。

[熊木洋太]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白海」の意味・わかりやすい解説

白海
はっかい
Beloe more; White Sea

ロシアの北部にあるバレンツ海の大きな入江。大小の湾,島がある。面積約9万 km2。平均深度約 61m,最深部はカンダラクシャ湾の北東部で 334.5m。大小の湾により海は不規則な形を呈する。大きく重要な島はオネガ湾口のソロベツ諸島,ゴルロ海峡口のモルゾビである。北西海岸はけわしい崖によって境されているのに対し,北東海岸は低く平らである。陸棚上に位置する白海の現在の形は,バルト楯状地として知られる古い構造地塊の斜面上に凹地として現れた。海底堆積物の大部分はシルトと粘土であるが,カンダラクシャとオネガの海底は砂質と礫質土となっている。漁業が盛んでタラ,サケ,ニシン漁が主。アルハンゲリスクはその中心地である。

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百科事典マイペディア 「白海」の意味・わかりやすい解説

白海【はっかい】

ロシア北西部,北極海の湾入。ロシア語でBeloe more。北部はコラ半島とカニン半島に挟まれ,バレンツ海と通じる。面積約9万km2。最大水深230m。冬季は氷結。主要港はアルハンゲリスク。18世紀前半のペテルブルグ開港までは,白海〜バレンツ海航路がロシアと西ヨーロッパを結ぶ唯一の海上交通路として重要な役割を果たしていた。→白海・バルト海運河
→関連項目オネガ[湖]

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