白物(読み)しろもの

精選版 日本国語大辞典 「白物」の意味・読み・例文・類語

しろ‐もの【白物】

〘名〙
白酒濁酒)をいう女房詞
※とはずがたり(14C前)一「御たづねのしろ物は、なににか侍るとたづねらる。〈略〉ありのままによのつねならず、しろき色なる九献を時々ねがふ事の侍を、かく石だたしく申なりといらふ」
② 塩をいう女房詞。
※海人藻芥(1420)「内裏仙洞には〈略〉塩はしろもの」
豆腐をいう女房詞。
※御湯殿上日記‐明応七年(1498)一一月一五日「みつかんのおり、しろ物一おりまいる」
清酒をいう女房詞。
※御湯殿上日記‐文明一七年(1485)九月三〇日「くはんしゆうしよりならのしろ物御たる一かまいる」
⑤ 雪をいう正月の忌み詞。
諸国風俗問状答(19C前)備後国品治郡風俗問状答「元日の雨をおさかり、雪を白物ふれりと」
⑥ 植物「しらたまのき(白玉木)」の異名。〔日本植物名彙(1884)〕

しろい【白】 物(もの)

※宇津保(970‐999頃)あて宮「飯には、しろいもの振るひて入れ、敷物、袋など、めでたうして奉れ給へり」
② 雪。
白髪(しらが)
恍惚の人(1972)〈有吉佐和子〉四「白いものの多い髪をふり乱して」

しろき【白】 物(もの)

白粉(おしろい)古名。古くは米の粉で製したものという。しろいもの。
延喜式(927)三七「造供御白粉(しろきもの)料、糯米一石五斗〈略〉並限卅日給」
② どの色にもそめてない白の装束。多くお産の際の装束。
※栄花(1028‐92頃)若水「女房達人知れずしろきものどもをいそぎそそきあへり」

はく‐もつ【白物】

〘名〙 白いもの。おしろい。
源平盛衰記(14C前)八「紅粉(こうふん)・白物(ハクモツ)の様なるものを頬に付けたり」

しろき‐もの【白物】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「白物」の意味・読み・例文・類語

しろ‐もの【白物】

「白酒」「塩」「豆腐」をいう女房詞
色がついた物に対して、白い物。「白物家電」「白物衣類」
白物家電」の略。
石油業界で、見た目が透明な石油精製品を意味する白油通称

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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