皮目
ひもく
樹木の幹・枝・根の表面にみられる多少突出した細長いレンズ状の裂け目をいう。表面が滑らかな樹皮ではとくに目だち、裂け目の方向は、根ではつねに横向きであるが、幹や枝では縦向き、横向きがある。皮目は周皮の一部で、皮目の部分ではコルク形成層の活動が活発になり、丸くて大きい填充(てんじゅう)(添充)細胞とよばれる細胞がつくられる。この細胞はコルク化しておらず、また、組織は細胞間隙(かんげき)に富み、細胞の配列は粗雑である。他の周皮のコルク組織では、細胞が緻密(ちみつ)に配列して水分や空気を通しにくい構造をもち、すでにはげ落ちた一次組織の表皮にかわって植物体の保護作用を営んでいるのに対して、皮目の部分では、気孔のかわりに樹皮の内側への通気作用を営んでいる。幹における皮目の裂け目の向きや長さ・幅などは木の種類によってそれぞれ異なっており、樹皮の色・模様、はげ落ち方とともに種類識別のよい目安となっている。
[鈴木三男]
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皮目
ひもく
lenticel
樹木の幹の肥大生長に伴い,表皮と中心柱の中間層である皮層内にコルク層が形成されて,幹内外の空気の交流が断たれたのち,気孔に代って空気の流通に役立つ組織。コルク形成層は皮目の部分ではコルク層をつくらず,大型で丸みを帯び細胞壁の薄い填充細胞を外側に向って押出すようにつくる。気体の流通は填充細胞の細胞間隙を通じて行われる。皮目の形は樹種により異なり,サクラやシラカバでは細長い横の線,キリやニワトコでは縦の線として見える。
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ひ‐もく【皮目】
樹木の幹・枝・根などにあり、表面のコルク層を破って割れ目状に見える構造。気孔の代わりに空気を流通させる。皮孔。
かわ‐め〔かは‐〕【皮目】
料理で、魚の切り身や鶏肉などの、皮がついている側。
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ひ‐もく【皮目】
〘名〙 樹木の幹や根のコルク層にある小裂孔で、気孔と同様空気の
通路となる組織。サクラ、ニワトコ、
ヤナギなどにみられる。
かわ‐め かは‥【皮目】
〘名〙
① 植物の幹や枝、また、実などをおおっている皮。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
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世界大百科事典内の皮目の言及
【茎】より
…樹皮の形状は種によってさまざまであるが,それはコルク形成層の分化・活動のしかたが多様であるためである。その他,ふつう茎の気孔の下で,コルク形成層に連続した形成層(皮目形成層)から皮目がつくられることがある。皮目は細胞間隙をもち,呼吸に関与している(図2)。…
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