監査請求(読み)かんさせいきゅう

改訂新版 世界大百科事典 「監査請求」の意味・わかりやすい解説

監査請求 (かんさせいきゅう)

地方自治体には,財務に関する事務の執行,公営事業経営の状況を監査するために,長が議会の同意を得て任命する監査委員が置かれている。監査委員が定期または随時行う監査に加えて,住民の直接参政を保障するため,住民には監査委員に対する監査請求権が認められている。これには二つの形態がある。第1は,地方自治法75条にもとづき有権者の1/50以上の連署をもって,監査委員に事務の執行について監査を請求するものである(事務の監査請求)。第2は,地方自治法242条による住民監査請求である。住民は,首長,行政委員会,職員に違法・不当の公金支出や財産処分があると認めるときに,監査委員に監査を求め損害補塡(ほてん)のための措置を講じるよう請求できる。これは住民がただ一人でできる請求である。いずれの場合も,監査委員は監査を行い,その結果を請求人に通知し公表せねばならず,首長と行政委員会,議会は監査委員から勧告を受けたならば必要な措置を採らねばならない。
住民訴訟
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百科事典マイペディア 「監査請求」の意味・わかりやすい解説

監査請求【かんさせいきゅう】

地方自治法の認める住民の直接請求一種地方公共団体の住民に対し,その団体またはその機関の〈事務の監査請求〉をする権限手続を認めている。有権者総数の50分の1以上の連署が必要。他方,地方公共団体の財産管理や公金支出などの不法処理の有無などに対しては,住民訴訟(民衆訴訟)の前審手続として住民が個々に監査を請求する〈住民監査請求〉の権限と手続を認めている。
→関連項目連署

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