真土峠(読み)まつちとうげ

日本歴史地名大系 「真土峠」の解説

真土峠
まつちとうげ

金剛山脈南端、和泉山脈東端の各丘陵が五条盆地の段丘地形に及ぶ所。天元三年(九八〇)とみられる太政官符案(栄山寺文書)には「真土」の条里名を記し、古くから大和・紀伊の境として、紀州街道の小難所として知られる。

「万葉集」巻四の笠金村の歌に

<資料は省略されています>

とあり、巻九、巻一二に

<資料は省略されています>

がある。また小野小町には次の歌がある。

<資料は省略されています>

そのほか

<資料は省略されています>

などと詠まれる。

現在は国道二四号のやや北の旧街道が県境を越える所を真土峠とよぶが、近世以前は東へ寄った現在の畑田はたけだ町・上野こうずけ町辺りの坂道をさしたものと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「真土峠」の意味・わかりやすい解説

真土峠
まつちとうげ

待乳峠とも書く。和歌山県橋本市と奈良県五條(ごじょう)市の県境にある峠。国道24号が越えている。水準点の標高121メートル。葛城(かつらぎ)山脈から南下して紀ノ川に注ぐ落合川(真土川、待乳川、堺(さかい)川)の左岸、かつての南海道の紀伊・大和(やまと)の国境にあたり、木ノ戸ともよばれた。『万葉集』巻四笠金村(かさのかなむら)の長歌に「紀路(きじ)に入り立ち真土山……」とある真土山(信土山(まつちやま)、待乳山)は紀ノ川に突出した落合川左岸の洪積丘陵で、対岸の火打崎と相対す。真土山には中世隅田(すだ)党の出城が置かれ、近世紀州藩は峠に伊勢(いせ)街道の番所を置いた。

[小池洋一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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